このレビューはネタバレを含みます
消費される『性』の恐怖を追体感できるホラー
モラ夫の死を目撃した過去のトラウマを抱えるハーパー。心の傷を癒すためにロンドン郊外にやってきた彼女を、宿泊先の管理人ジェフリーが出迎える。ハーパーは親切に対応する彼に、そこで出会う田舎の男たちに、じわじわと違和感を覚える。なぜ彼らは皆、同じ顔なのか?
──そして"彼ら"が、来る
衝撃作を次々発表し続ける気鋭の映画制作会社A24の最新作✖️「エクス・マキナ」で視覚効果賞を受賞したアレックス・ガーランド監督の仕掛ける〈禁断の狂夢〉👬🍎
政治的にも社会的にも交わされる男女の問題を扱ってる。この作品はその答えというよりも問題提起を突きつけてくる、ある程度の読解力が必要な作品だと感じた。
『女性』とか『消費された経験をもつ人』だと分かる層もいると思うのだけど、あるあるが多すぎてゾッとした。罪悪感でコントロールしてくる手段とかモラハラの教科書って感じで映画館で観れた感動がここにある。DV夫の、モラハラ大学主席で卒業したの?と聞きたくなる鮮やかなDVの手口が見事。それに対するハーパーが、ヒロイックすぎず毅然と描かれていて嬉しくなった。だけど、ここまでグロテスクに直接的に描いても届かない『男性』が一定数いることを考えると、それが一番怖いと思う。(*有害な男性性を指してあえて、男性と書いてます)
トラウマになる痛々しい描写があってグロ注意。
ホラーはうぉ!こえぇ!って感じのアトラクションみたいな度数で逆に楽しめました。
パッパッと切り替わる場面展開や、シーンごとの色彩の変化や組み合わせがいちいち綺麗。美しく不穏な映像表現は万国共通のエモさというか現代アート的。トンネルの中でハーパーが歌う曲に心揺さぶられうっとり。映画館であの残響音を浴びれるのはお金を払った価値あり。
個人的にラストの腹ボテエレクトリカルパレードにワクワクした。男が妊娠して男を出産する?最高じゃないっすか!!泣いてる絵面がぜんぜんホラーじゃなくて、製作陣のこだわりにニコニコ。ぜってぇ楽しんで作ったっしょ!あのシーン!
ラストの台詞は、まじでどうしようもねぇな。というのが正直な感想。人類全てが当事者という終わり方。あーこれ人類の問題だもんな。どうしよっか、って感じ。いくらでもあらゆる面から照射できるプリズムみたいに考察できる余韻をもたせてる。
期待を上回る上質な映画体験だった。
パンフレットも素敵でオススメ🍎