もも

LAMB/ラムのもものレビュー・感想・評価

LAMB/ラム(2021年製作の映画)
3.5

不思議な民間伝承のようでした。北欧神話のとある章を垣間見たような感じ。アイスランドが舞台なので、この場合サーガですかね。

家畜の羊から生まれた『人間でも羊でもない何か』。
禁断のアダちゃんは、かわいくて不思議で生々しくて、実写だとやっぱり異形感がある。それが何故かしら、夫婦の静謐な日常を変えていく彼を観ていくうちに「変わってるけどそんな騒ぎ立てるほどでもねぇべ?」という感覚に陥る。不思議。だけどやっぱり歪なんだよね。弟に指摘されなくても人間のママとパパは、気づいてるんだよね。そしてアダちゃんも。

世界が展開していき、ラストはハッと突きつけられた。
想像を超えたところに真実がある。当たり前のことなのですが、教訓でもなく、答えでもなく、物語そのものを差し出された、不純物のない美しい映画体験。

頭に残って、解釈をあれこれ考えたい一作になりました。
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