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MEN 同じ顔の男たちのtakanoひねもすのたりのレビュー・感想・評価

MEN 同じ顔の男たち(2022年製作の映画)
3.2
アレックス・ガーランド監督『エクス・マキナ』はぼんやり好きだけど、他はどうもハマらない……案の定、これもそうだった。

庭の林檎の木、廃路になった線路跡と隧道、グリーンマン(再生)と陰部を開いた女性の彫刻(魔除け)そこに神父のあの言動と行動、白鳥のゼウスの語り、はいはい監督わかった、わかったから!

終盤の繰り返す再生産の一部始終を見て、白けた表情で見ているハーパーの気持ちは理解が出来る気がする。
ただ、その後のシーンの彼女の心理は分からん。彼女と同じ性別だし似た体験あるけども。

ジェームズみたいな男、リアルに知ってるけど、「お前のせい」って他責思考全開でくるタイプと、ストレートに言わず遠回しにネチネチ責めてくるタイプがいた。
これ女にも普通にいるので、そいつ自身の問題で年齢性別は関係ない。
「死んでやる」を切り札に使う人間が変わることはない(経験則)ので、ハーパーの「そっか(こんな野郎、自滅してくれて本当に良かった)」の意味だったら分からなくもない。
「そっか(斤バコーン!)」ならもっと分かるけど、あえてそうしなかったんだろな。
スカッとさせず、ぬおーん……とした感触(言語化無理な感覚)を残したがるタイプだもんなこの監督の作品って。

スプリットタンみたくなった手に首を巻かれる場面は気持ち悪くて良い、マトリョーシカ状態のアレはグロテスクなブツとしての造形が良かった。
物語はなー……意外と何も語ってないんだよな……比喩ばっかで。