風来坊

リボルバー・リリーの風来坊のレビュー・感想・評価

リボルバー・リリー(2023年製作の映画)
3.5
これ原作がスゴく面白いんですよ!面白すぎて寝るのを忘れて一気読みした思い出があります。女性主人公なのにちゃんとハードボイルドしていて流石に大藪春彦賞を受賞するだけあるなと感心したものです。

そんな原作の実写映画化と聞いて興奮しましたが、監督が行定勲監督と聞いて興奮が不安に変わる…「だって行定さんてハードボイルドやアクション映画のイメージないじゃん」と…。更には製作費が約11億円で最終興行成績10億円に届かずという大コケで、怖くて観る気が湧かなかったですがやっと鑑賞にこぎ着けました。

ある程度にお客を呼べるネームバリューとアクションに抵抗が無い女優さんは綾瀬はるかさんしかいないんですけど、アクションを割とやっているにしてはいつまで経ってもイメージが付きません…。深田恭子さんと同じで普段のおっとりイメージが強すぎるんだろうと思います。
私の推しの山本千尋さんにやって欲しかったですけど、まだ彼女は綾瀬さんほどの知名度は無いしなぁ…。

綾瀬はるかさんと長谷川博己さんとのコンビは「はい泳げません」と一緒でもう少し間を空けられなかったのかと思う…。
トップを張れる日本映画の人材不足を感じてしまう…。
山本五十六役があの人とはねぇ…逆張りで狙いなんだろうけど…。

色白さを押し出して冷酷な感じを出してカマキリみたいな清水尋也さんは悪役として良いキャラクターでした。ジェシーさんは軍人の話し方の演出だろうけど何かイントネーションがおかしいという印象しかない(笑)
板尾創路さんは嫌いですけど、こういう器が小さい悪役はよく似合います。

指摘されていますが子どもを守るだなんだで「グロリア」みたいな感じがしてしまうのはもう仕方ない。
やっぱり恋愛映画や人間ドラマを描く事に定評のある監督なので人間ドラマを中心に描きたいのは分かります。しかし…銃を握るまで40分ほど掛かるしもう少しテンポ感を何とか出来なかったのか…ハードボイルドアクションとしてはちょっとテンポが悪いと感じます。

時代の変化で和洋折衷が押し寄せているモダンな明治の街並みや衣装。綾瀬はるかさんのモダンな髪型。激動の時代と運命にあがない強く生きる女性と少年の成長と監督の見せたい伝えたいものは分かります。
しかし…原作好きとしてはこれじゃないんだよぁ感が強すぎて…。
ちょっと無駄なシーンもあって長いのもネック…。

アクションシーンは期待したよりは遥かに少ないけれど、1つ1つのアクションシーンは悪くはないです。
豪華キャストで綾瀬さんは相変わらず綺麗だったし、役者は本業じゃないシシド・カフカさんの凜とした雰囲気も良い。

主人公が白い衣装を着るとああなるのはベタだけどまあ好き。
ただ…全体的に悪くはないで収まってしまう映画で大ヒットに繋がらなかったのも頷けるところ。もう少し、アクションに定評のある監督だったらどうなったのかなと思います。
含みのある終わり方でしたが興行成績は悪かったので、この体制での続編は難しいと思いますね。
風来坊

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