アケオ

かがみの孤城のアケオのネタバレレビュー・内容・結末

かがみの孤城(2022年製作の映画)
2.8

このレビューはネタバレを含みます

率直に言うとかなり「面白くない」寄りだったのですが、冷静に作品のエッセンスの部分を振り返ってみるとそこまで悪い内容だとも思わないので、何故自分が「面白い」と思えなかったのかを整理してみました。

・劇伴のセンスが酷い
たいして盛り上がってもない場面なのにデカい音を鳴らしたり、シリアスな場面で調子外れのBGMを流したり、とにかく感情移入を阻害される場面が多かった印象です。これは同じ感想の人も少なくないのではないでしょうか。

・願い事を叶えるか否かの決断が無かった
おそらく物語の山場で「願いを叶える代わりに記憶を失う」「願いを諦めることで記憶を維持する」の決断を迫られるであろうことを、序盤の方で示唆されるのですが結局そのような決断の場面は訪れませんでした。
主人公以外のみんな(連帯責任含む)が狼に喰われてしまったので取り得る行動が「願い事を行使して助ける」一択になってしまったからです。
このくだりには悩みも葛藤もまったく存在せず、ストーリーの盛り上げに寄与していませんでした。
門限やぶりのペナルティもこの結末に導くためだけの都合のいい舞台装置に過ぎなかったことが判明し、がっかりしました。

・スッキリしない謎解き
ミステリー要素として序盤から組み込まれていた「鍵探し」ですが、これもよく分からないまま消化されてしまいました。伏線も何もなくいきなり終盤で登場した童話から閃きを得て解決されてもなんのカタルシスも無いですし、既に見つけていた6つの印に各人の記憶(?)が宿っていてそれを回収する流れに至っては唐突すぎて訳がわかりませんでした。

・結局
全体的に城のルールに納得感が無かったのが作品にのめり込めなかった原因なのかなとここまで書いていて思いました。
あの城はリオン君の姉が作ったのか、彼女に力を貸した上位者的な存在があったのかはわかりませんが、本当に弟のために作った世界なのであれば記憶の消去や狼の存在などは不要なはずですし、「世の中そんな美味しい話はないよ、総取りは無理だよ」という方向に寄せるのであれば身内贔屓でリオン君の記憶を残す演出はノイズだと感じます。
他にも、少なくとも喜多嶋先生にはほんのりと記憶の残滓みたいなものが残っていたりと、全体的にそういった軽薄な都合の良さみたいなものが鼻につきました。
アケオ

アケオ