もちお

かがみの孤城のもちおのネタバレレビュー・内容・結末

かがみの孤城(2022年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

 初鑑賞です。
 以前から気になっていました。
 原作未読です。

 誠実な作品と感じました。
 気になったところもありますが、好きな映画です。

①気になったところ
・自己紹介
 苗字だけだったり、下の名前だけだったり。
 あり得ないとは思いませんが、やや不自然に感じました。
 終盤で種明かしをするためなのかなと思いました。

・時間のズレについて
 もっと早い段階で気づくのではないかなと思いました。
 詮索されたくないからこそ相手を詮索しないのは分かりますが、約1年経って気づくのは・・・
 携帯電話やスマートフォンを城に持ち込む人はいなかったのかなと思いました。
 教材やゲームの話題でも気づいたりしないかなと考えてしまいました。

・「真実はいつも1つ」
 乗れなかったです。
 落ち着いた本作に声優さんネタは合っていないと思いました。

・こころちゃんの母親
 事態を把握したことで態度が変わったのだとは思いますが、変わりすぎに感じました。
 序盤が非常に冷たい様子だったからです。
 あんなに親身になってくれるのであれば、最初から娘を突き放すようなことはしないのではないかなと思いました。
 もはや別人に見えました。

・終盤で気になったところ
 鏡の一部が残るのは都合が良すぎないかなと感じました。
 「こころちゃんが城にいるのも17時以降では?」とも思いました。
 狼はどこへ行ったのかなと。

②良かったところ
・それぞれの事情
 メインの7人。
 それぞれの物語がバランス良く描かれていました。
 詳しく描かれないキャラクターもいましたが、ある程度の事情を推察できる範囲だったと思います。
 また、繊細な問題に真摯に向き合っている作品と感じました。
 目配せにとどまっていなかったです。

・学校が全てではない
 終盤の東条さんの台詞が印象的でした。
 他の世界もあると意識しておくことは、心を守る上で大切だと思います。
 あそこまで学生時代に達観できるかというと、難しい気もしますが。
 ただ、数歩引いて状況を捉えられたら気持ちが楽になるかもしれません。

・こころちゃんのモノローグ
 説明的に感じることもありました。
 が、内向的な性格を表現していると思うと、しっくりきました。
 最終的には心の内にとどめず、外に発せられるようになっていました。
 頼もしかったです。

・アキちゃんを救う
 こころちゃんが何枚もの鏡面に向かって走っていくシーン。
 自分自身と向き合い、ぶつかり、強くなっていく。
 音楽も相まって、伝わってくるものがありました。
 みんなで助けるのもグッときました。
 一方、アキちゃんの問題が根本的には解決されていないのではとも思いました。
 が、喜多嶋さんの様子を見る限り、何かしらの対応があったのではと推測できました。
 アキちゃんが今度は救う側になっていったことを思うと、感慨深いです。

・きれいに終わっていく
 「あの人がこの人でした」の諸々には驚かなかったです。
 ただ、これは不満点ではありません。
 それだけフェアな作りだったのだと思います。
 きれいに収束していくところが心地よかったです。
 全員のその後を描ききらないところも良かったです。
 察することができる範囲にとどまっていました。
 好きな距離感です。

③まとめ
 人間関係に傷つくこともあれば、人間関係に救われることもある。
 そう改めて感じました。
 観て良かったです🙇‍♂️
もちお

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