ぐ

IDOL NEVER DiESのぐのレビュー・感想・評価

IDOL NEVER DiES(2022年製作の映画)
2.8
映画、として捉えるには低予算の、かなりテンプレに収まった作品。
似たようなカット割り、繰り返されるループによる撮影時間の節約、おおよそ陽の印象からもわかる数日で突貫で、しかも撮りきる事が絶対条件なのが見通せてしまう。内容が内容なのに、余裕がどこにもない。

主演から脇役にいたるまで、1人を除いて全員がほぼ素人の本作。これをアイディアで乗り切るわけではなく、脚本自体の簡素化で適合させてしまう事に「見た目」以上にその人でないといけない部分を見せられていないことに、魅力を感じられなかった。ただ作中の曲自体は良く、見せ場のライブシーンはある種、本職なので見れたけれど、配信というのを言葉にさせて、その部分を見せないのはいささか片手落ち感がある。要するに話のうえでの巧さがない。
また、これは言ってもどうしようもないが、男が「アイドル」を撮った作品です。もっと多面的に捉えることができる「アイドル」を映すにあたっての距離感や角度など多面的に撮影だけをとっても表現する事ができず、直接的な昔ながらのB級の枠で作っている。ここは好みの問題だけれど、もう少し繊細な部分に触れる画作りでもよかったんじゃないかと。極端に言えば昔見たデッド寿司との違いがない。もっと色んな事ができた企画なんじゃないかな、というのが正直な感想です。

というのが映画としての感想。
ではドルヲタとしてはどうか、というのがもう一つの話。
推しているアイドルが出演していれば、それはそれで別の一面を見る、という事で十分納得できるくらい、それぞれの扱いは均等。むしろ尺を考えれば、キャスト自体を減らすことも時間を削る事も英断だったろうに、それをしない部分は良くも悪くも層を狙った部分には適応していると思います。
一方で、モチベーション、誹謗中傷や身体的なケガ、二足の草鞋、など、現在過去未来、アイドルが悩む問題をそれぞれのキャラの負荷として描いているため、ここに共感できるか、で作品を見るハードルがぐっと下がる気もしていて、観客側の補完のしようによって作品の受け止め方が違ってくる。これは映画自体の持つ部分ではなく、オタク側の熱さにかかってくるんじゃないかと。
なので、ファンムービーの域を超えていない。観客に依存しきっている。うまくアイドルというかギュウ農フェスのプロパガンダとして存在してくれる事を期待したのだけれど、結局、フェスのファンが見るための作品になってしまったのが残念である。
ぐ