ぐ

ボーはおそれているのぐのネタバレレビュー・内容・結末

ボーはおそれている(2023年製作の映画)
3.7

このレビューはネタバレを含みます

久々に映画館で見て「面白かった」の気分で出れたけど、これが正常なのかはわからない、というアリアスターな映画。無垢な15歳とかが見て同じ感想になるとは思えない。

自分が良かったと感じるのは、脚本以外の全て。じっくりと這い寄る映像、圧倒的な演技の強さ、色味と音の表現力。そのかわりに脚本はアリアスターだから、という一言に尽きるため良い悪いの印象の外にある。話の上ではグザヴィエドランとファニーゲームUSA(オリジナルは未見)を思い出すとともに、オムニバス的な要素も加味しつつ、一応ひとつの物語を語れている。

ポスターのようなカラフルな色味のカオスさではなく、やはり人の奇奇怪怪が前面に押し出されているアリアスター。精神科医が出てきた瞬間笑ってしまったよね、よくこんな人見つけてきたなぁと。

強迫観念的な「これが起きるのが不安」が起き続ける事で負の方向に転がし続けるも、映画的なあるあるも加味されているのとボーのキャラクターがもたらす自閉症気味の不安感、そういったものが最初は激しく強く、だんだんと不気味に、そして最後は破綻していく。負荷をかけ続ける事が真っ直ぐで観客を意識していないのが良かった。

唯一気になったのはヒッチハイクの部分。何も無かったけど、あんなお誂え向きの流れで監督が何もしない訳はないので、カットしたものが存在しそう。尺も尺なので、家での出来事に強さを残すにはたしかに要らないとも考えられる。

総じてらしさが伝わるブレ無さに好感を持った事が面白いと思った正体かもしれない。
ぐ