ヒノモト

教育と愛国のヒノモトのレビュー・感想・評価

教育と愛国(2022年製作の映画)
4.5
タイトルからしてハードル高めな映画に見えるのですが、おおざっぱに言うと教育の自由に対して、政治的圧力が異常なほど浸食している事実について描かれたドキュメンタリー映画です。

観終わって、やり場のない怒りがあって、どう処理したらいいのか分からないくらいでした。
正直、子供もいないので直接的には関係ないことではありますが、政治的都合によりねじ曲げられた解釈、現場の教師、研究者、教科書の出版社に対する政治的強者からの圧力に対して、次の世代の人たちへどのような世界を提示していったらいいのか、このような現実を容認してしまっているこを恥じることの多い映画でした。

一方で、愛国心のような普段あまり意識することのない問題に対しても、教科書検定により今日ではありえないほどの戦前の昭和ぐらいのレベルの国家至上主義の厳しさが残っていて、現在の日本の立ち位置が全く見えていないこと、実際に利用する教師や生徒たちとの意識との乖離が激しくて、権力のある人たちの現場が見えていない感覚が観ていて大変気持ち悪かったです。

映画では主に他国とのバランスにおいて、歴史的解釈に対して政治的圧力がかけられていることが描かれますが、それ以外に「道徳」という教科について触れている部分があって、こちらに対してももっと言及すべき部分があってもよかったのではと思ったところは残りました。

このような作品が現在大きな問題になっている大阪のテレビ局から発信されていることは、勇気ある行動だと思いますし、映画として全国に発信されていること自体は大きな成果だと思います。

内容自体は堅苦しさはないので、フラットな気持ちで観られる大変良質な映画だと思います。
ヒノモト

ヒノモト