ヒノモト

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すべて、至るところにある(2023年製作の映画)
3.9
リム・カーワイ監督による『どこでもない、ここしかない』(2018)、『いつか、どこかで』(2019)に続くバルカン半島3部作の完結編。
 
バルカン半島を訪れたマカオ出身のエヴァが映画監督のジェイと出会うが、パンデミックと戦争が世界を蔓延する中で姿を消してしまう。その後、彼を捜すためバルカン半島を再訪したエヴァは、かつて自分が出演したジェイの映画が「いつか、どこかに」が完成したことを知るというお話。

旧ユーゴスラビアの戦争記念碑として、各所に建設されたスポニメックでの撮影シーンが印象的なのですが、映画における時間の流れの中での過去と現在が上手く表現されていて、残された建築物の圧倒的な存在感の有り様と完成した映画における作品そのものとしての実存と喪失感が、ロケーションの場所としての重みも相まって、多重的に見える構造が効果的に感じられました。

アジア人の俳優たちと現地の人たちとの交流にも違和感がなく、撮影で訪れた食堂での現地の老人のインタビューが映画内に挿入されることで生まれる意味合いにより、単なる観光的映画になっていないし、戦争やパンデミックが人々に与えた影響の大きさを、身近に引き寄せるほどに魅力的な物語だったと感じました。
 
上映後には、リム・カーワイ監督と「マイスモールランド」の川和田恵真監督とのトークがあり、主演のアデラ・ソーさんも参加されて、貴重なお話を聞くことが出来ました。
 
あと、リム・カーワイ監督のバルカン半島3部作の特集上映が横浜であるらしいということも聞けたので、時間が許す限り駆けつけたいと思いました。

上映後の写真を含むブログは以下にて
https://ameblo.jp/hinomoto-hertz/entry-12839323014.html
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