三作見て、吉田恵輔監督の作品、好きかもしれないと思いました。
人が追い詰められたとき、極端な変化にさらされたときどうなるのか？神の実験みたいにキャラクターをこれでもかと過酷な環境に晒してみせて、その先にしかない光景や抱けない感情を見せてくれるところ。それと、現代にありそうな出来事を描いているのに、なんだか寓話的なところ。登場人物に感情移入させなかったり、愚かさにはしっかり報いを与え、教訓めいてるし皮肉っぽい。根底を流れるものはグリム童話とかに近い気がする。
田母神もゆりちゃんも愚かだけど、でもその立場になってみると言い分はわかるし自分もそうならないと言い切れないくらいの愚かさなのが絶妙。田母神の立場でただ身を引いたり、ゆりちゃんの立場で田母神に本気で感謝して優しくできる人、実はそんなにいない気がする…。
それに田母神は最初からどこかで見返りを期待してたと思うし、ゆりちゃんは最初から自分のために奉仕してくれる他人を求めてたと思うんですよね。「神」の軽さ、簡単に対象が変わるとこ笑ってしまう。環境のせいで変わったんじゃなく、元々ある悪い性質が増長しただけに見えるのも、誰にでもあり得ることっぽくてリアル。
小さなタネが不幸なドミノ倒しで大きくなってく感じ、嫌なんだけど楽しんで見れてしまいました。面白かった。そういえばコウモリ男もコミュニティが大きくなるにつれて害悪度増してる感じだったなあ…。同じ社内でやってる分には社内の人間関係ややこしくするだけで済んだのに。
