空母ポンタヌフ

神は見返りを求めるの空母ポンタヌフのレビュー・感想・評価

神は見返りを求める(2022年製作の映画)
3.9
前半の売れないYoutuberと裏方として支える主人公のキラキラした描写がまぶしく、青春映画を観ているようだった。ミュージックビデオ風に挿入される部分はキラキラしているのだけどきっとこの後に待ち受けることを考えると切ない。お金は無かったけれど確かに楽しかったあの戻らない日々...。ここをかなりキラキラさせているがゆえに、中盤以降の岸井ゆきの演じるゆりちゃんの変貌具合とその取り巻きにかなりイラっとするし、ムロツヨシ演じる田母神がゴッティーと化していくのは観ててつらい。終盤には田母神に一応の救済が示されるが、その一方で人の善意や厚意を食いものにする側に行ってしまった報いも同時に受ける。人間関係のドロドロした部分を煮詰めたような映画だが、人と人の間には酸いも甘いもあるわけで、あらためて自分自身の身の振り方を深く内省させられる映画と共に、“頂き女子”系のニュースなどをよく観る昨今に人の善意や厚意を食いものにする人間が報いを受ける社会になってほしいと切に願いたくなる作品。
挿入歌「かみさま」をうたっている空白ごっこを知れたので最高。そして岸井ゆきのの演技が際立ってスバシライ。