みんと

遠い日の家族のみんとのレビュー・感想・評価

遠い日の家族(1985年製作の映画)
3.9
クロード・ルルーシュ監督による愛憎ドラマにして戦争サスペンス。
“転生”をモチーフに戦時下で家族を失ったユダヤ人女性の悲劇を回想形式で描いていく。

いかにもクロード・ルルーシュ的オープニング。トランティニャン主演もあって『男と女~』もっと言えば『ランデヴー』を思わせるドライブシーンに惹き込まれる。(コレも早朝、監督自らの運転で撮ったのかな…?)

そしてラフマニノフの美しいピアノの調べが優雅で残酷なストーリーとシンクロし心を揺さぶる。更にはドラマティックさを演出するミシェル・ルグラン効果も加わる。

はぁ、コレはもうある意味音楽映画と言っても良いくらいの陶酔感。台詞も少なく、序盤なんかは不親切さすら感じるけど、まるで音楽に語らせるドラマ。

時系列がかなり前後するため、慣れるまでは混乱もするうえメタファーめいた散りばめも随所で感じられる。曲芸師バンサンの綱渡りシーンなんかはヒヤヒヤものだけどかなり意味深にも感じられる。

クルーゾーの『密告』の引用の辺りから俄然サスペンスフルに加速し、予想外の悲劇へと導き方は見応えがあったなぁ…

そもそもトランティニャンとピコリの共演って初めて観た気がする。個人的には何とな~くキャラが被るんだけど、ちょっとした贅沢感も。笑


ジャケがあまりに作品の内容とかけ離れてるのが大きくマイナスだけど、ドニ・ラヴァンの“探せ”的登場はプラス要素?!
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