みんと

ジェーンとシャルロットのみんとのレビュー・感想・評価

ジェーンとシャルロット(2021年製作の映画)
4.0
昨年76歳でこの世を去った、言わずと知れたファッションアイコン、ジェーン・バーキンのドキュメンタリー。
娘であるシャルロット・ゲンズブールの撮影レンズを通して、素の姿、母娘の会話、貴重な映像が収められていた。

素敵だった~
なんてカッコイイ母娘なんだろう。

特異な環境に置かれた2人に距離があったと言うのはやむを得ないと思う。けれど決してそれは負の感情ではなく、馴れ合いでもなく距離感を持ちお互いを尊重し合える、悪くない関係だと思う。多分、紆余曲折を経て、しかも年齢的なものもあるだろうけど。

ファン歴から言うと思い入れも知識も乏しい。そこは詳しいフォロワーさんのレビューを頭に入れつつ、純粋にひとりの女性として、1組の母娘として、或いは母として娘として観た時、響くものが大きかった。

5つの恋愛、3人の異父姉妹、娘を置いての家出、娘の自死…。映画さながらの波乱万丈な人生あってこそのジェーンの姿は神々しさすら湛えてた。時々で悩み苦しみ葛藤を繰り返し、もはや悟りの境地のようにも。
酸いも甘いも経験してなんぼ!全てが文字通り肥やしになってる。人間としての成熟すら感じる。

シワやシミにさえ生き様を感じる。必要以上に老いに逆らわず自然体な姿が凛としていて美しい。そして、時折見せるハッとするような眼差しや仕草は老いなんかじゃビクともしない、生涯プロ!

12年間連れ添ったセルジュ・ゲンズブールは更に知識不足だった。
作曲家、作詞家、歌手、映画監督、俳優 、
と多彩な肩書きを持ち、一方、ヘヴィー・スモーカー、女ったらし、エロおやじ、と呼ばれながらも何故かそれらが全てカッコイイ響きに変換されると言うズルい男性でもある。…らしい。

文章にしてみると、才能とズルさのギャップはとても魅力的。何より、作中で映し出される保存されたままのセルジュの邸宅内がアートまみれで素敵。芸術家の匂いがプンプンする。
そして、遺品を見ながら、まるで奇妙な生き物の記憶を語るかの2人の会話がまた愛おしい。

通して、変わらないジェーンのカッコ良さの中にチャーミングさを感じながらも、今作で娘シャルロットの自然体の姿も素敵だった。
かなり刺激的で大胆な役柄イメージが大きい分(特にトリアー監督作品での)ちょっとホッとしたり。当然のことながら、ひとりの娘であり母でもある姿には親近感すら。
盤石な家庭を築いて居るのは性格的なものだけではなく母ジェーンを反面教師としてもいるのかな。
それでもやっぱりジーンズの着こなしなんか、不思議とDNA感じたり…。


通して、穏やかに包み込むように母の言葉を引き出すシャルロットの優しい眼差しが印象的だった。

インタビューで、今作を観たお母さまの反応は?と聞かれたシャルロットは、
母は「愛がある」と、とても感動してくれました。
と語っている。
みんと

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