悪魔の毒々クチビル

ザ・バブルの悪魔の毒々クチビルのレビュー・感想・評価

ザ・バブル(2022年製作の映画)
4.2
今の世界に必要なのは映画じゃない!ワクチンだろ!!


コロナ渦真っ只中、様々な規制に縛られながらも何とか映画を製作しようというお話。


このご時世だからこそ生まれた映画ですね。
我ながらあらすじ紹介がざっくりし過ぎていて何となくシリアスなドキュメンタリーとも捉えられる書き方ですが、中身はこう言ったコロナ渦での映画撮影の過酷さや撮影時でのあるある風なトラブル云々を詰めるだけ詰め込んで、ハリウッドザコシショウ並に誇張させた超おバカコメディ映画です。

主演はカレン・ギラン。
主役だけど劇中一番不幸が折り重なる幸薄お姉さんです。
ていうかカレンってネビュラの時は毎回坊主にしているのもそうなんだけど、今作でもバイブでオナニーしたり彼氏に振られて現場でのストレスが溜まりに溜まってヤリチンサッカー選手とセックスしたりと結構色々やってくれますよね。
「Xファイル」や「エヴォリューション」でお馴染みデヴィッド・ドゥカヴニーも脚本に口出しする俳優役で出ていて懐かしかった。
個人的に一番期待していたキーガン=マイケル・キーはそこまでぶっ飛んでいなかったんだけど、ドラッグキメてアクロバティックな動きをしていた所は良かったです。

撮影スタッフの健康管理の責任者が過去三回に渡ってコロナに感染していたり、定期検診で「みんな陰性でしたが、インフルエンザと性病にかかった人がいました。撮影は続行します」みたいな会話とかここぞとばかりに小ボケを導入してきますが俺は結構笑えました。
段々と厳重になり過ぎる警備システムや「現場の悲惨さなんか知らん!大金が掛かってんだから意地でも完成させろ!!」スタンスな配給側の重役もこの手の設定ならではですね。
最初のTikTokダンスもそこそこだったんだけど、後半の皆でラリった状態で踊っている所はめっちゃ面白かったし。

因みに劇中で製作中の映画は「クリフ・ビースト6」という、空飛ぶ恐竜と戦うモンパニ映画。
シリーズを擦り倒すあるあるも弄っていますが、普通にゴア描写満載のパッと見無駄に面白そうなモンパニ映画でした。
こういう作品莫大な制作費出してくれる世界線は普通に羨ましい。

あとはカメオ出演も豪華で思わぬタイミングでジョン・シナが出て来た時は滅茶苦茶笑いました。
マカヴォイさんもいますし、何なら某有名アーティストもチラッと出演してきて楽しそうでした。

まぁこんだけバカな内容ではありますが、それでもコロナ渦での撮影って大変さは伝わって来ました。
撮影前に検査してホテルで2週間独りで過ごして、互いの距離感も常に気を遣って過ごし撮影中に誰かから陽性反応が出たらまた隔離生活……と、これはストレス溜まりますよね。
劇中だと離婚後の初共演だった俳優夫婦がヨリを戻してまた別れるくらい長引いていましたし、あまりの不自由さに脱走する俳優も。
その時の「俺の代わりなんていくらでもいるだろ!バットマンだって今じゃ"トワイライト"のガリガリ男がやってんだぞ!」みたいな台詞も只のギャグってだけでなく、確かにな…と妙に共感してしまう所も含めてネタになっていましたね。

ただこれね、観た後で知ったんだけど評価クソ低いんですね。
内容的に最後は撮影環境の理不尽さに耐え兼ねて俳優組が一致団結してとある行動を起こすんだけど、別に一ミリも感動しないし心も揺さぶられないのでギャグが合わなかったらとことん観る気力無くすタイプの作品ではあります。はい。
監督が「40歳の童貞男」なんかでお馴染みのジャド・アパトーなのであそこら辺のくだらないコメディが好きなら今作もアリなんじゃないかと思います。オチも結構好き。
そう言えば字幕だと「コロナ」って単語は出ますが、実際の台詞ではVirusとかになっていてコロナとは言わないもんなんですね。