悪魔の毒々クチビル

REC:レック/ザ・クアランティンの悪魔の毒々クチビルのレビュー・感想・評価

3.8
「今このカメラで人を殺したけど心配ない」

消防士の密着取材をしているレポーターらが、救援要請のあったアパートに行って地獄を見るお話。


前回投稿した「レック」のリメイク版です。
監督は「クーデター」や同じくPOVモノである「地下に潜む怪人」のジョン・エリック・ドゥードル。
主演に「エミリー・ローズ」のジェニファー・カーペンター、そしてメデイロス枠のアレを「シェイプ・オブ・ウォーター」のダグ・ジョーンズが演じています。
オリジナル版は何度か観ていたけど、このリメイク版は大昔に一回観たきりだったので内容はほぼ忘れていました。


改めて見直すと全体的な流れはオリジナル版を踏襲していて、ぶっちゃけ良かった所はほぼ変わらないのでここでは基本省略します。決して手抜きではない。

変更点に関しては「殺人鬼と一緒に居られるか!俺は自分の部屋に戻るからな!」タイプのベタなフラグを建てる住人が加わったり、ちょっとオリジナル版と死に方が違うキャラがいたりと終盤までは些細なものです。
あとオリジナル版ではカメラマンはほぼ姿は映らなかった一方、リメイク版では鏡越しとかでちょいちょい映ります。だからどうって訳でもないけど。

また、今作でも登場する発症して大暴れする少女はジョーイ・キングが演じており、この2年後くらいに「ラモーナのおきて」に出るんだなぁと思うと微笑ましくなります。
まぁオリジナル版よりも若干カメラワークとかで発狂演技を誤魔化している感じはするけど、ご愛敬ってことで。

また主人公のキャラはアンヘラほどウザったくなく、オリジナル版ではイライラしたシーンでも今回はそこまで気にならなかったですね。

でも終盤の屋根裏部屋での出来事(と言うか真相)はガッツリ変更されていて、そこはイマイチでした。
オリジナル版は少なくともあの段階では「え、どっちなの?」な展開のまま終わる不気味さがあり、それがメデイロスの怖さにも繋がっていたのですがこちらではより普遍的な内容になっていてアレの存在感も薄くなっていた気がします。
そう言えば落ちてきた消防士が一度起き上がってへし折れた脚を引き摺りながら歩いてくるシーンが追加されていたんだけど、描写としては悪くないながらちょっと脚の作り物っぽさが悪目立ちしていて結局は蛇足になってしまって残念でした。

あと個人的にとある人物の末路は、オリジナル版のあの描写の方が絶望感あって良かったんだよね。あそこは変えちゃイカンよ。
全体的な緊張感や臨場感もオリジナル版の方に軍配が上がるかな。
向こうを観たあとすぐにこっちを観ると手ぶれ補正でも付いてんのかってくらい画面が安定していて、ぶっちゃけ酔い辛いのは有難いんだけど登場人物の焦りとかは前者の方が伝わって来ていたので。

それでも元が元なので普通に出来の良いPOVホラーではあると思います。
まだどっちのシリーズも観ていない人にオススメするなら間違いなくオリジナル版なんだけど、仮に勘違いしてこっちから観ちゃった、とかでもまぁ良いんじゃないかなと。
本家もシリーズ最終作でやらかしちゃうし。