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セールス・ガールの考現学/セールス・ガールのKUBOのレビュー・感想・評価

3.8
フレッシュな映画だったなぁ。こんなフレッシュな映画がモンゴルで撮れちゃうんだ!

予告編で、普通の女学生が「大人のおもちゃ」のお店で働くことになって…、って設定がおもしろそうで気になってた作品。

主人公の女の子がおもしろい。台詞は少なくて、まあしゃべる時はしゃべるんだけど、朴訥としていてリアクションが薄い。

だって、いきなりセックスショップのバイトって、興味津々だったり、怖いこともあったりするのに、割と冷静で顔に出さないし、度胸が座ってるというか(笑)

で、この女の子とセックスショップの女主人との触れ合いの一つ一つが非日常でおもしろい。

この女主人、裕福で、かつて有名人だったっぽいけど、訳ありの過去がありそうで、でも寂しがり屋で…

玄関にワンピースの海賊船のLEGOがいっぱい飾ってある。「ゴーイングメリー号」「サウザンドサニー号」「九蛇海賊船」etc. 監督、日本のサブカル好きかしら。

ピンクフロイド「狂気」のジャケットを見せて「70年代の香り」とか言って、これがキーになるアイテムとして使われてる。実は今もこの「狂気」を聴きながらレヴュー書いてるけど、かつてイーグルスとかクイーンとかを聴いてた私はプログレ好きな友人に無理矢理聴かせられたっけなぁなんて、その70年代の香りを思い出してます。

この作品、音楽の使い方がおもしろくて、バスの中で突然主人公が聴いてた歌を歌い出したら、後方の乗客も歌い出して「?」ってなったんだけど、

それ以降、作品内で何度も挿入歌を歌うバンドが実際に画面に登場するシーンがあるんだけど、このバンドはモンゴルの人気バンドで ”Magnolian”って言うんだそう。

映画の中の節目節目にMVのようにMagnolian の演奏が挟まれる感じは、深海誠のRADWIMPS みたいな感じ?

音楽の使い方、カラーフィルターのかけ方、クールですよ。

「セックスショップはポルノショップじゃない 薬局よ」「好きなことを仕事にできれば心は豊かよ」 と女主人の名言。

最初はホントイモ姉ちゃんにしか見えなかった主人公の女の子は、どんどんあか抜けてって、最後はすごいかわいくなっちゃう!

セックスに対する興味や関心の持ち方は、今の日本と比べたら控えめで、たぶん昭和の頃の日本くらい。この辺の感受性って、国によってずいぶん違うけど、まずイージーにセックスしちゃうフランス映画より共感が持てる。

少女を大人の世界に誘って、実は自分が少女にそばにいてほしかった女主人。

ラストシーン、大人になっていく少女と発展を遂げるモンゴルの高層ビル街が重なって、これまたオシャレ!

久しぶりに聴いてる「狂気」、良いアルバムだなぁ。ダウンロードしとこ。
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