れもん

映画ドラえもん のび太の新魔界大冒険 7人の魔法使いのれもんのネタバレレビュー・内容・結末

4.0

このレビューはネタバレを含みます

2007年公開の『ドラえもん』の映画シリーズ27作目(「第2期」2作目)で、5作目『のび太の魔界大冒険』のリメイク作品である。

1作目『のび太の恐竜』のリメイク作品だった26作目『のび太の恐竜2006』は、細かな変更を加えながらもストーリーの大筋は1作目を踏襲していた。
それに対して今作は、細かな変更だけでなくストーリーの大筋にも変更を加えていた。

個人的に良かった変更点。

①魔法の世界だけでなく現実の世界にも美夜子たちが存在していることにした点。
②美夜子に化けたメジューサに騙されるくだりを追加した点。
③ドラミが助けに来るくだりの唐突感を軽減していた点。
④メジューサの正体を美夜子の母親にして重要な役割を持たせた点。
⑤ギムをネームドキャラクターにして終盤まで活躍させた点。

個人的に良くなかった変更点。

①のび太が出木杉に相談し、出木杉がのび太に魔法と科学の歴史を説明するシーンを削った点。
②しずかがスカートめくりされるくだりがしつこかった点。

良かった変更点が5点で良くなかった変更点が2点だけど、この良くなかった変更点が本当に良くなくて、特に①に関しては出木杉ファンの私は本当に根に持っている。笑

このシーンは、のび太が心の底では出木杉を信頼していることや、出木杉がのび太の夢想家な一面を馬鹿にしないことを描いていてる歴史的名場面だったので、絶対に削ってほしくなかった。
また、他でもない出木杉が魔法と科学の歴史について語ることで、もしかしたら科学ではなく魔法が発達した世界線もあるのかもしれないという世界観に説得力を持たせる効果もあったと思うので、やはり絶対に削ってほしくなかった。

とはいえ、リメイク元の5作目は個人的には少し退屈な作品だったのだけど、今作の脚本を務めた真保裕一が上映時間を17分増やすだけでここまで退屈しないストーリーに仕上げたことは素晴らしいと思う。

ただ、感動させたいシーンでキャラクターを叫ばせたりその場にいるキャラクター全員に涙を流させるなどの大袈裟な演出は肌に合わなかった。
ここで感動してね!と言わんばかりの演出は、逆に感動を遠ざけてしまう。
特に、美夜子が一人で悪魔たちに立ち向かうシーンでのび太が美夜子の名前を叫ぶのは、のび太が悪魔たちに見つかってはいけないという前提を考えればリアリティが無さすぎる。
リメイク元の5作目では、のび太は美夜子の名前を呼びはするけど声はひそめていた。

そして非常に残念だったのは、ゲスト声優の相武紗季(美夜子役)と久本雅美(メジューサ役)に違和感があったこと。
二人とも、演技はともかく声質が合っていなかった。
特に相武紗季はメインのゲストキャラクターを演じているものだから相当キツかった。
久本雅美に関しては美夜子の母の姿に戻る時だけ違う声優に変えれば良かったような気もする。
普段のふざけたイメージを捨てて本気で演技していた姿勢は好感が持てるけど、声質的に美夜子の母ではなく祖母みたいだった。
ちなみに、河本準一(満月博士役)は意外と違和感が無くて、観ている時はゲスト声優だと気づかなかったレベル。

とりあえずギムのぬいぐるみをグッズとして売ってほしい。
5作目の時から妙に可愛くて好きなキャラクター。

【2022.08.16.鑑賞】
【2022.08.17.レビュー編集】
れもん

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