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“それ”がいる森のシネラーのレビュー・感想・評価

“それ”がいる森(2022年製作の映画)
2.0
公開当時に悪い意味で
気になっていた本作を初鑑賞。
まさかのSFホラーという物語だったが、
噂に違わない酷い内容に途中から
突っ込み映画として観てしまう映画だった。

福島の田舎町を舞台に、
森の中に潜む"それ"によって
町の子ども達が次々と失踪していく
ホラー映画となっていたが、
人間ドラマもホラー展開も大雑把で
製作年を疑う程の古臭さがある映画だった。
人間ドラマに関しては、
相葉雅紀の演じる父親が別居して
離れていた息子と再会し、
事件を通して親子関係を築いていく
内容となってはいたが、
親視点でも子ども視点でも
二人に感情移入できないのが痛かった。
子どもが父親に対して、
「お父さんは逃げてるよ」と別居する
場面で言ったりしているのだが、
家出して東京から父親のところへ訪れた
息子自身が逃げている為、
説得力が全くもって無かった。
その癖に父親に対して
「気持ちが分からない」と言ったり、
友達が失踪した件に関しても
その場にいたのに「覚えていない」と
逃げている素振りが目立っていて
嫌な子どもに見えてしまった。
物語的に親子の絆の再構築といった
印象も弱い上に、
子どもと大人も犠牲者が出ている中で
ハッピーエンドを醸し出しているのも
嫌いに思える部分だった。
加えて、登場人物の発言がいちいち
説明的で漫画的なのも気になる部分だった。

"それ"の正体に関しては、
正体を示唆する描写の段階で
察しがついてしまう上に、
しかも無骨で滑稽な正体な事も
相まって酷いと思った。
その動きが早いのか遅いのかも
中途半端で人を貫ぬく力があるのに
扉を破れないといった描写は、
設定の大雑把さを感じるしかなかった。
意外な物が弱点となるのも
この手のSF展開のお決まりだが、
それなら森に潜む方が弱点だらけだろう
にと思う部分だった。

大人達の描写を省いた子ども視点での
ジュブナイル映画で描いて欲しいと思った。
反面教師的な映画として、
深夜のお酒のつまみで突っ込みしながら観る映画としては面白かった。
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