いざわ

ザリガニの鳴くところのいざわのレビュー・感想・評価

ザリガニの鳴くところ(2022年製作の映画)
4.5
良かった〜〜〜。自分の周囲ではあまり話題性がなかったのでそんなに期待してなかったんですが、映画館で観て良かったです。

まず映像美ですよね。色彩鮮やかな映像そのものの美しさは美点であるとともに、この映画は「自然が美しく、時に厳しくなきゃいけない」映画なので、撮影は気を遣ったんじゃないでしょうか。湿地のゆっくりとした水の流れと木漏れ日の光は、映像言語として映画全体の空気作りに欠かせない役割を果たしている。素晴らしい映像でした。

主人公のキャラクターも最高〜〜。静かに素朴に、だけど強くしなやかに生き抜くさまは本当に「自然」そのもの。ラストに象徴的な台詞があるけど、早い段階から「彼女」こそが「自然そのもの」なんだ、と観客に分からせる趣向が散りばめられている。そんな彼女をデイジー・エドガー・ジョーンズが好演。孤独感、諦め、だけど決して失わない高貴さのような強さを、視線や表情で表していました。
ネタバレ...にならない程度にしたいので詳細は言わないですが、トムとのやり取りの中でカイヤが「命乞いしろっていうの?」と言うシーン...良かったです。押さえつけられていた理不尽への怒り、彼らに石は投げないけれど頭も下げないという彼女の内なる高貴さ、強さと激しさがよく現れていました。

主人公を取り巻く人々も魅力的。ミステリー要素は物語を牽引する重要なファクターだけど、一番の本筋は主人公の挫折や成長、人生であり、それを支える人々がこんなにも魅力的なのは素晴らしいなぁ〜と思いました。テイトがいなかったら、ジャンピンとメイベル夫妻がいなかったら、ミルトン弁護士がいなかったらと思うとゾッとします。

ラストの回収も鮮やか! 上述した映画全体に流れる空気やキャラクター達を損なわず物語を締めてくれる。素晴らしかったです。あとエンドロールで流れるテイラー・スウィフトの歌も良い。原作読もうかなぁ。
ぜひ映画館で観てほしい映画でした。
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