タロ

ロストケアのタロのレビュー・感想・評価

ロストケア(2023年製作の映画)
4.5
ぼくは、1年弱、父の介護をしました

ぼくは、その当時、ちょうど心身共に体調を崩し、家で療養中でしたが

どんどん弱る父
いろんな箇所に疾患が見つかり、母だけでは無理なので、毎日のように病院に連れていき
短期入院で、せん妄になり
夜間徘徊が始まり
家で転んで圧迫骨折し
介助がないとトイレに行けなくなり

周りは、制度を使えばいい、と言い
急いで介護認定の申請をして
介護ベッド、車椅子をレンタルし
ポータブルトイレを購入し

父の入院した病院は、急性期基幹病院だったから、長期入院はできず、なぜか転院もさせてもらえず

でもこの状態で、どうやって家で看るの?

家はどんどん荒れ果てていきます
まるでぼくと母と父の心を写す鏡のように

そして、ぼくは思いました

父は、あとどれくらい、生きるの?

自分は、人間ではないのだ、と思いました
人間の皮を被った、鬼だと

全く映画と関係ないことを書いてすみません

ただ、長生きしたい、って言う人に出会うたび、心の中でそっとため息をつきます、表に出ないように、細心の注意を払いながら、そっと軽蔑します

その時は、医療費全額自費で、身内の方に介助してもらってください

この国は、団塊ジュニア世代が、後期高齢者になる20年後、何もかも、足りなくなるのですから

それは、人口予測で、わかってることです

政治家が悪い?
そうかもしれないけど
声を上げないわたしたちにも、責任はあるんじゃないですか?
お金と時間を費やして、大切に育てた子供たちに、助けてもらうんですか?
そんなことさせるために、育てたんですか?

すみません、自分に向けても、思っています

ぼくは、この映画のラストに、ある登場人物の発する言葉に、涙が溢れて止まりませんでした

そうだよな、みんなそうやって生きていけたらいいのに、って

そして、大友検事の言葉に、打ちのめされて

子供のころ、星の王子さま、を読んで感銘を受けましたが、年を重ねて、そうしないと生きてこれなかった、こんな不条理だらけの世界を

「PLAN75」

で描かれたセンセーショナルなパラレルワールドにも衝撃を受けましたが、この国は真剣に

安楽死、尊厳死

を議論しなければいけない、今まで「明日、生きること」を時間をかけ丁寧に秩序立ててきた、そんなスピードでは、もう間に合わない

わたしたちが困るんじゃなくて
わたしたちが大事に育てた子供たちが困るんです

「月」

という、映画を観ました

そして、

「正欲」

という映画も控えています

もう、見たくないものに蓋をしていればいい時代は、終わりました

みんなが、私自身が、目を覚まさないといけない
偽善で傲慢だとしても
安全地帯から、何偉そうに宣ってるんですか?と罵られても

この映画を制作してくださり、本当にありがとうございました

マツケン、柄本明さん、ずんのやすさん、素晴らしかったです
タロ

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