タロ

PLAN 75のタロのネタバレレビュー・内容・結末

PLAN 75(2022年製作の映画)
4.6

このレビューはネタバレを含みます

映像と音が、悲しみと苦しみに支配されている

PLAN75が制定された日本はこのような悲しみと苦しみに支配されるのか

ストライクが出てハイタッチしてくれる若者
テレホンオペレーターに意義を説明しているのがそばで聞こえている若者

20年後の日本は、団塊ジュニア世代が全て後期高齢者になると人口統計で分かっている

ぼくは、安楽死・尊厳死の制度化に肯定的な側です
結婚も子供もいなくて、自分のことが自分でできなくなった場合、僅かな貯蓄を使おうと、身内ではなく他人にお願いしないといけない立場になるから
勿論、それらの制度化に想像もつかないほどの不利益や危険性を孕むことも想像しています

そんなのよりはるかにすすんだPLAN75

生きようとする老人
制度を利用する老人
それらの人について、それぞれの考えをもつそれぞれの若者たち

自分で選択できるんですよ、と耳障りの良い御託を幾ら並べても、誰かが誰かを批判する感情に日常が支配されていく

じゃあどうすればいいんですか?

ぼくにも分かりません、自ら死を選ぶ人に説明・処置などをするスタッフのケアだって必要になる

ただ、20年後のことが分かりきってる今、指を咥えて待ってていい筈はない

せめて、人は人、自分は自分
人のした選択に寛容な気持ち
自分の常識は、人の常識とは違うから

ぼくは、自分が年老いたらどうするかは、自分で選択しようと改めて思います、そして、人の選択には感情を無くそうと思います

誰しもに勧められないけれど、多くの方に観ていただきたい作品です

個人的な意見です、終盤の施設のセキュリティについて違和感を感じたり、幾人かの方が指摘されている通り中盤までがかなり繊細なため、終盤雑な感じが否めないのが大変勿体無かったです、尺などの関係上仕方なかったのでしょうか

磯村さん、厳しい役が続いていて、制作側にとても信頼されているのだな、と改めて思いました、素晴らしかったです

河合さん、初めて演技を拝見しました
あの場面でぼくは、何か声を発するのだろうと凡人が考えそうな予測をしましたが、はたして、その遥か上を行く演技に涙してしまいました
ぼくは、この物話で泣くことは、失礼なのではと思い、我慢していたのですが、あなたのその表情がこの映画の救いでした、本当にありがとう

そして、賠償千恵子さん、皆まで言わずとも様々な感情が詳らかに伝わる演技、圧巻などという言葉では表すことができません、壮絶でした

映画館で観たかったです、でもやっと観ることができました、ありがとう
タロ

タロ