ごんす

ロストケアのごんすのネタバレレビュー・内容・結末

ロストケア(2023年製作の映画)
1.0

このレビューはネタバレを含みます

苦手な監督、ポスターもやばそうとバイアスかかりまくりの鑑賞ではあったけどこんなにふざけてるとは思わなかった。 
テーマそのものは考えるに値すると思うけど、ここまで軽く描かれているのは予想外で驚いた。

全部聞き取りやすい発声の台詞で説明してくれるのは予想通りだったけど特にテーマの導入に向かう前半20分ぐらいはこの人達馬鹿なんじゃないかと思ってしまった。
っていうかずっとふざけてるように見える人もいた。

松山ケンイチ演じる介護士、斯波の印象を観客に植え付ける為だけの学芸会みたいな芝居が始まって「あんだけ白髪になるってことは苦労したのよ~」とか同僚がデカい声で言うぐらいはまだマシで仕事に就いて3ヶ月くらいの新人の女性が面と向かって「私、斯波さんのこと尊敬してます!!」←どうやら先輩として尊敬しているだけでなくホの字の様子(古)
まぁ別に本筋と関係ない恋愛が出てくるぐらいは驚きはしませんよ。

しかし、彼女はこの斯波さんが事件を起こしたという報道を職場のテレビで目にした時に藤原竜也ばりに発狂して職場の皆に抑えられる。
そのまま彼女は映画から退場したと思ったら終盤の方で一瞬登場。
彼女は風俗嬢になっていて待機室にいる他の嬢達と共に死んだ目をしていました。
どうやら作り手は裏切られ落ちぶれた人は風俗で働くという思想の持ち主のようです。
 
この映画全体的に軽いし古いので職業差別なんて言っても仕方ないけれど他にも母子家庭とか父子家庭に対する考え方、生活保護まわりの描写などなどいちいち癪に障るのでやっぱり真面目に観ない方がいいのかもと思ってしまった。

柄本明以外の認知症の人の描写にしてもお花畑みたいになってるか喚いてるかばかりで雑。

この映画の数少ない良かった所は柄本明で凄すぎる認知症の演技が何言ってるか分からない所があった。
結局これだけ喋りまくる映画でも良かった所は聞きとりずらい…って凄い皮肉なものだなと思った。

あと誉めたいのは長澤まさみのスーツスタイルがカッコ良かったぐらい。
長澤まさみの役の設定とか凄く良いのに勿体ない。
松ケンVS長澤の演技合戦もやってることは『月』の磯村勇斗VS宮沢りえと同じだけど全然『月』の方が揺さぶられた。
これは役者の力の差ではなくキャラクター造形の差かもしれない。

賛否両論出ないとおかしいテーマなのに泣けるように観客を誘導してごまかそうとするのはチャラいと思った。
『護られなかった者たちへ』の桑田佳祐の主題歌同様に後、お願いします!みたいな森山直太朗の主題歌に任せる感じもどうなんだろう。
親子の絆に涙…みたいな所で着地させようとしてるように感じるしこれなら地上波の刑事ドラマでもできそう。
ごんす

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