Timmy

映画刀剣乱舞-黎明-のTimmyのレビュー・感想・評価

映画刀剣乱舞-黎明-(2023年製作の映画)
1.0
前作の本格戦国活劇から一転、「あ!これpixivで見たやつだ!」とオタク進研ゼミ状態になる本作。

今まで二次創作含め数多の「刀剣乱舞」作品を見てきたけど、その中でもワースト。

監督と脚本家は、刀剣男士を「変身ヒーロー」、時間遡行軍を「怪人」とでも思っているのかな。だとすれば私の考え方とは到底相容れませんね。二度と刀剣乱舞に関わらないでほしい。以上です。

と、言いたいところだけど、それでは唇噛み締めてまで観た意味がないのでもう少しオタクの厄介語りを。

原作ゲームは6年目、刀ステは綺伝まで鑑賞済み、映像はテレビ版花丸2クールと映画三部作、活劇、継承鑑賞済み、刀ミュは花影ゆれる砥水まで全て鑑賞済みかつすえひろがりも現地参戦済み、1年で最低5回は刀剣鑑賞に出掛けている。ゲームを始めた日からほとんどの時間を刀剣乱舞に費やしてきた面倒なオタクです。

よかった点はラストの戦闘シーンと、相変わらず高慢極まる山姥切長義、そして幸せそうな蒼木くんと美しい崎山くんの出演シーン。

馴れ合わず、目的を淡々と遂行するだけの山姥切長義。「綺伝」の彼とはまた違った良さを感じ、映るたび目が覚めるようだった。

蒼木くん、崎山くんにも再び出逢えて本当に嬉しい。

この1点は彼らのためのスコア。それがなければスコア0だった。





良くない点は挙げるとキリがないのでかいつまんで。

登場人物は基本ステ出演済みメンバーなので、概ね気にならなかったが、髭切は別。棒読みがちに声が上擦るのは、どうにかならなかったのか。役者自身が「髭切」のイメージをなぞろうなぞろうと頑張っているのは伝わるけど、無理をしているのではないかと心配になる。どうしたって万人のイメージにマッチするわけがないのだから、無理のない自然な演技をさせてあげてほしかった。

どうでもいいけど、鬼滅をパクったような酒呑童子のデザインも酷い。もう二度と見ることはないから心底どうでもいいけど。

あと不満のほとんどはストーリー。陳腐、軽薄、矛盾。

よく知らない人間の、よく知らないバックボーンを、悲劇なんです、彼はこんなに傷ついているんですと声高に語られても、誰が感情移入できるの?
あんたが勝手に傷ついて、絶望しているだけのことなのに、他の何かのせいにするな。

私は「刀剣男士」が見たかったのであって、「知らない人間の可哀想な話」が見たかったんじゃない。

同情をひきたかったのかもしれないけど、過程の描写が不足しすぎていてあまりにも陳腐。

見るに耐えなくて何度「もう終わってくれ」と思ったことか。ダラダラダラダラダラダラと知らない人間が薄い自分語りをするだけ。「たとえどんな歴史であっても護らねばならない」ことの無情を描くなら、前作の方がよほどやり方が上手かった。

そもそもこの映画の主題は何?全く見えてこない。
「渋スクや廃工場や寂れた団地で異装のキャラクターがチャンバラしてたらかっこいいよね」がしたかっただけ?

なんでもかんでも諸手を挙げて脳死で喜ぶと思ってるのなら大間違い。全く心が動かなかった。ただただ舐められてるなと感じた。

最後の戦闘シーンの演出だけ100点。それ以外言うことなし。刀剣乱舞は箱推しだけど、この映画に最推し(鬼丸国綱)が出なかったことだけが救い。出てたら多分悔しくて泣いてた。

前作は「初めての人でも楽しめる刀剣乱舞」だったけど、今作は「低年齢向け刀剣乱舞」って感じ。これ皮肉だから。じゃあ永遠にさよなら。
Timmy

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