はやと

ブエノスアイレス 4Kレストア版のはやとのネタバレレビュー・内容・結末

4.3

このレビューはネタバレを含みます

映画はストーリーだけではない。
画、色彩、演技、カメラワーク、雰囲気で作り上げるものでもあるとまざまざと見せ付けられた。


男性二人の別れては復縁〜を繰り返す恋模様。
どちらか一方が悪いわけではなく、ウィンもファイもどうしようもないけど、お互いがお互いを憎み、愛しているからこその行動によって離れてしまう二人。
最後、一人で滝を見に行き、そして一人帰国する前向きな終わり方を遂げるファイと、一人部屋で二人の思い出のデスクライトを眺め、部屋で泣くウィンの対比に切なくなる。

ファイはチャンという特別な人に出会い、前向きな気持ちでブエノスアイレスを発ち、最後の台詞が言えたんだろうな。
それも納得できるチャンの魅力というか、人間力みたいなものは本作において唯一の良心的なポジションにいて、3人目の主演としてキャスティングされているのも納得。


パスポートのくだりのカメラワークが半端なさすぎて笑ってしまった。完璧すぎる。
ほとんどが固定ではなく手持ちカメラで撮影されてるのか、程よい手ブレによって演出される二人の生活やブエノスアイレスの情景が何とも言えない。


そして何よりもトニー・レオン、レスリー・チャンの見事な快演。ちょっとこの二人は正直もう別格と言うか、存在感や表情が段違いに魅力的で豪華。


ラストシーンで電車に乗ってるファイと共に流れる「Happy Togeher」が最高。爽快な内容ではないはずなのにとんでもなく爽快な映画を観た気分になった。

ストーリー単体で見ると退屈なんだけど、決して退屈に感じないのはウォン・カーウァイの完璧な手腕と主演3人のおかげだろう。
ブエノスアイレス、一度行ってみたい。
はやと

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