行ったり来たりの大人の恋。
初公開時に劇場で観て以来で再鑑賞。部屋を間借りするお隣さんのパートナー同士の不倫発覚後に発展する隣人既婚者同士の恋愛設定がいい。互いのパートナーの顔を見せないのもナイス演出。ハイネックのチャイナドレスがどれも美しい、このマギー・チャンと「欲望の翼」の彼女が同一人物なの？ジャーナリスト役のトニー・レオンの仕立ての良いスーツ姿も粋。その同僚 ピンは寅さんのタコ社長みたいで下世話な感じが愉快。ホテルで新聞連載小説の共同執筆で時間は重ねるけど、体は重ねない、一線超えない二人の関係が素敵。この作品の香港ライフの美術や衣装が好き。香港ではあまりロケしてないそうだが、60年代の香港の街並みの感じも素敵。壁紙と調度類と翡翠のようなガラスの食器。背面にピンクの透過素材をあしらった麻雀牌もオシャレ。フロアの構造がどうなってるのかよく分からないが、麻雀をしているアパートのオーナー達に、隣人が部屋に来ているのを気づかれないように夜を明かすシーンが面白かった。今作はやたらと飯のシーンが多い。屋台で繰り返し汁そばをテイクアウトする女と同じ屋台で食事をする男が繰り返し出会ったり、レストランで二人がステーキを食すのを行ったりきたりラリーする移動ショットなど繰り返しの演出が効いている。繰り返される同じメロディーの倦怠感溢れる弦の音楽がすごくいい。大人の恋の切ない感じが見事に現されている。他にも選曲や劇伴が相変わらず冴えまくっている。「ブエノスアイレス」や「2046」にも出てくるタクシー後部座席カットはこの作品からなのかな？同じことを繰り返すWKW。OPとEDの赤地に大きくレイアウトしたクラシカルなフォントの白の漢字タイトルがかっこいい。
