「花様年華──人生で最も美しい瞬間」
もどかしい大人の恋愛模様を耽美的なムードで綴った本作。何か大きなことが起こる訳ではなく、愛のセリフが交わされることもない。二人の関係はどこまでも曖昧だ。けれど、ふとした視線や表情から互いが深く惹かれ合っていることが画面越しに伝わってくる。きっと月日が経ったとしても、共に過ごした時間を二人は忘れないだろう。そう感じた。
香港の湿度までも伝わるような映像、情感溢れる音楽、衣装や壁紙などの色合い、すべて美しかった。土砂降りと黒胡麻汁粉のシーンは特にお気に入り。
初めてのウォン・カーウァイ作品を劇場で見ることができて良かったです。