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ニューヨーク 第1波のlily0x0のレビュー・感想・評価

ニューヨーク 第1波(2021年製作の映画)
3.9
医療従事者だから共感する部分も多かったですが、やはり現場で闘う医療従事者の心労は想像を絶するものだと思いました

パターンが分からず、こうなったらこうっていう医療的な診断、アセスメントが通用しない
ただただ1日1日目の前の命に向き合っていく
家族の代わりに手を握っていてもすり抜けていく命
何が安定なのか回復なのか油断もできない

ドキュメンタリー映画として構成もよく、フォーカスされる人物が何人かいて、医師、看護師、患者などどちらサイドにも密着していたのがよかったです
助かるかどうか予測もできない中、患者の選定をしたんでしょうね
なので初めは経過を追っていたけれど亡くなってしまった人もいたのかもしれないし自らを感染リスクにさらしながらなので、病院に潜入し密着取材したのもすごいと思いました
それだけ世に伝えようという監督の意志が伝わりました
さすがラッカは〜の監督

コロナだけでなく、ヒスパニックや黒人の社会的問題、ジョージフロイドの件も絡めていて2020年のニューヨークってこうだったなと後で鮮明に思い出せる内容になっていてよかったです

急変し蘇生できなかった人も多い中ちゃんと退院した人もいて、こういう人が少しでもいるからこそ医療従事者はそのために頑張れるんだよなと思いました
日本の病院は本当サービス業って感じで一対一の人間同士の対等な関わりというのが弱い気がします
こんな盛大に退院のお見送りなんてしないですし、呼吸器外れて歌を流すとかそうない気がします
忙しくて余裕がない中で、さも、こういった取り組みをちゃんと価値のあることとしてスタッフが一貫した意識を持ちやっているこのでしょう
患者一人一人に興味を持ち、治したいよくしたいというスタッフの気持ちが伝わってきました
医師の悲痛の叫び、理学療法士の関わり方、とても印象的でした
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