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ラック 幸運をさがす旅のArataのレビュー・感想・評価

ラック 幸運をさがす旅(2022年製作の映画)
3.9
ジャケット写真にひかれて鑑賞。

と言うのも、我が家では保護した黒猫を飼っているのと、個人的に緑色が好きだからである。


鑑賞後に調べたのだが、この作品の制作は、ミッションインポッシブルやトップガンマーヴェリックなどを、パラマウントと共同で制作しているスカイダンスメディアのアニメーション部門による作品との事。

元ピクサーで、トイストーリーやカーズの監督ジョン・ラセター氏が、アニメーション部門で指揮を取っているらしい。
本作の監督は、ディズニーアニメのティンカーベルなどで監督を務めたペギー・ホームズ氏と言う方だそうだ。


また、黒猫のボブをサイモン・ペッグ氏、ドラゴンをジェーン・フォンダ氏、レプラコーンのキャプテンをウーピー・ゴールドバーグ氏、などがそれぞれ声優を担当。
主演のサム役は、ブロードウェイミュージカルのミスサイゴンでトニー賞ノミネートや、映画イエローローズで主演を務める若きミュージカルスターのエバ・ノブルザダさん。
実力ある俳優陣による声の演技も、とても良かった。
エバ・ノブルザダさんは劇中で歌も披露しているのだが、彼女の事を存じ上げなかったもので、失礼ながら「おお、ずいぶんと歌うまい声優さんだなあ」なんて呑気にしてしまった。いやいや、、道理で素晴らしい歌唱力。笑


【あらすじ】
自称、「世界一運の悪い人」である主人公のサムが、ある日黒猫のボブと出会う。
ボブを追いかけ、「運の国」へ迷い込んでしまう。

幸運と不運が隣り合わせのその国で、様々な出会いや出来事があり、サムの中で何かが変化する。

サムは、自らの不運を断ち切り幸運を手に入れる事は出来るのか?
それとも。。
と言った話。


【感想など】
キャラクターの表情が豊かで可愛い。


世界各国のラッキーアイテムの一つとして「招き猫」が出てきて、日本人としてはなんだか嬉しい。


スコットランドでは、黒猫は幸運の象徴との事。
日本でも、明治時代以降は欧米にならって不吉なものと言うイメージが強くなっていくが、江戸時代までは幸運の象徴とされていたらしい。


アイルランドの幸運の妖精「レプラコーン」が沢山出てくるのだが、その誰もが可愛らしい。
私の知り合いで、アイルランド好きの方の中に、「セントパトリックスデー」で、レプラコーンの着ぐるみを着ると言う方もいるのだが、ここまで可愛らしいキャラクターでは無く、「緑の服を着た髭の生えた3頭身のおじさん」と言った感じだった。


サムが歌うシーン、ウサギ達がまた可愛い。
この映画は、とにかく可愛いキャラクターに、終始にんまりする映画。

ドラゴンはウェールズ、ユニコーンはスコットランドと深い関係があり、アイルランドのレプラコーンと合わせて、ケルトの国大集合な感じ。


エンドロールも工夫されていて、最後の最後まで楽しめる。


運の国で「運に左右されない幸せとは何か」に気付き、サムはひとつ成長すると言う、不思議の国のアリスと同様のテーマ。



【お酒】
幸運のドラゴン。

運の国のジュースバーで、ティキマグに入れられた特性ドリンクに、パイナップルなどのガーニッシュが添えられているところに、ドラゴンが口から火を吐き、表面を軽く炙る。

ジュースバーと名乗っているので、おそらくノンアルコールの飲み物なのだろう。

ティキマグと言うのは、偶像崇拝をするハワイなどのポリネシアンカルチャーの人たちが生み出した木彫りや石彫りの神様の像を、器にアレンジしたもの。

ティキマグには、ティキカクテルが供される。
ティキカクテルとは、厳密な定義は存在しないが、パイナップル、ココナッツなどの南国の果物や、アクセントにスパイスなどを使用した、甘くフルーティでジューシーでスパイシーなカクテルで、ラム酒などの南の国のお酒を使う事が多い。
ここではノンアルコールのようだ。


ガーニッシュとは、カクテルに添えられている飾りの様な物で、原則食べられるものである。

稀に、柿のように加熱すると渋くなるものも存在するが、一般的に果実は加熱で甘くなる。
このパイナップルも、表面が炙られて程よく甘味が出ていると思われる。
また、パイナップルに含まれているブロメラインと言う消化を助ける酵素が、熱で働かなくなるなど栄養価はやや下がるが、その分低刺激になり、より甘みを感じられるようになるらしい。
加熱するなら短時間がおすすめらしいので、この様に火で炙るくらいが良いとの事。
ちなみに、酢豚に入ってるパイナップルは、加熱調理時間が長いので、消化を助ける働きが失われてしまうらしい。
栄養を求める時は生で、甘みを求める時は加熱して、と言ったところ。


ジャグリングしながら大道芸や太神楽の様にボトルを扱いながらカクテルを作るパフォーマンスをする「フレアバーテンダー」のいるお店では、しばしばこの映画のドラゴンさながら炎を扱うカクテルもある。

ファンタジーの中だけの飲み物の様にも見えるが、現実世界でも似たようなものは再現出来そうだ。



話は極個人的な事になるが、その昔テレビの星座占いで、ラッキーアイテムが「氷の入った飲み物」と言う日があった。
その日仙台を訪れていた私は、たまたま入ったバーで、その日の私のラッキーアイテムである「氷の入った飲み物」と言う事で、仙台に工場があるニッカウヰスキーのシングルモルトウイスキー宮城峡のスタンダードボトルをオンザロックで注文した。

すると、目の前にはテイスティンググラスに入ったウイスキーのストレートと、まん丸い氷だけが入ったロックグラスが、それぞれ別々に提供された。
中々珍しい提供スタイルだが、私はそれを以前雑誌で見かけて知っていた。
真似してみると、ストレートでも味わう事が出来るし、氷の溶け具合による味の変化を堪能出来るので、それ以来すっかり私の店の定番になり、お客様からもおおむね好評であった。
だから最初は、きっとこのお店もその同じ雑誌か何かで知って真似しているんだと思ったが、そうではなかった。
提供された時のグラスの位置、カウンターやバックバーの雰囲気、なんとなく既視感を覚え、少し戸惑った様子の間を開けて顔を上げると、全てを察したかの様にそのお店のマスターが、「以前、雑誌に載った事がございます。ちょうど今、お客様(私)のお席から写真を撮っておられました。」と言うのだから驚いた。
たまたま入ったお店が、以前雑誌で見ていたお店だったと言う奇跡にもだが、マスターの推察力にも感服した。
私は、勝手ながら真似させていただいている旨をお伝えすると、「特許があるものでもございませんので、どんどんやってください。本当に変化があって面白いですよね。」と、おっしゃっていただき、晴れて『お墨付き』を得た。

更に、他のお客様への対応も素晴らしく、誠に勝手ながらも色々と参考にさせて頂いている。
他にも、このお店では沢山の奇跡が起きるのだが、語り出すとまだまだ文字数を要するので、今回はこのくらいにしておく笑

そのお店さんとは、その後も様々な形でお付き合いが続いており、テレビの占いのラッキーアイテムも、案外取り入れてみるもんだなと思った出来事である。

運を味方につけて、楽しく生きていきたいものだ。
Arata

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