Jun潤

リバー、流れないでよのJun潤のレビュー・感想・評価

リバー、流れないでよ(2023年製作の映画)
3.8
2023.07.10

上田誠脚本作品。
タイムループものと最近はSFの主流となっているジャンルの作品であるものの、その時間が2分間というなかなかパンチの効いた設定。
そんな突飛な設定の中で、独特な作風のイメージがある上田誠によってどのようなストーリーが展開されるのか、注目です。

京都、貴船にある老舗旅館「ふじや」。
ある冬の日、2組のお客さんがいる中、仲居のミコトが川のほとりで一息つき、客室の片付けのために戻ったはずが、いつの間にかまた川のほとりにいた。
片付けをした記憶もあるし、同僚や番頭、女将さんや料理人たちも同じ状況だった。
2分ごとに時間が巻き戻っているー、そのことに気付いたふじやの面々は、タイムループから脱出する手段を模索していくが、巻き戻りを理由にやりたい放題。
その中でミコトは、恋人のタクへの想いを吐き出し、それぞれが秘めた未来への不安が、ループを抜け出すきっかけとなる、のかー?

『MONDAYS/〜』的なSF事象に対して力ずくで対処していく様や、そこに含まれていくそれぞれの気持ち、そして『前田建設〜』の上田誠脚本よろしくそんな状況の中でも仲居や女将としての仕事を全うしようとする人々と、見どころと笑いどころしかねえ作品でした。
カメラワークも、2分間ワンカットずつで同じ時間でも視点や動き方が変化していたことで、ストーリー的にも画的にも同じ時間を繰り返しているだけにさせない仕掛けが活きていましたね。

止めどなく流れていく川のような時間に対し、誰もが一度は流れていかないでくれと願う。
そんな願いを神様は叶えてくれる、はずもなく。
ループから抜け出すのに必要だったのは正直な気持ちを告白することでも最近できていなかったデートをするでもない。
ループ前にしていた仕事の続きをすることによってのみループから抜け出すことができる。
というのは、気持ちなどさして必要ではないという皮肉の表れか、今目の前の仕事を積んでいくことで未来へと繋げていくことが大事だというメッセージか。
Jun潤

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