たぬー

リバー、流れないでよのたぬーのレビュー・感想・評価

リバー、流れないでよ(2023年製作の映画)
3.8
温泉旅館で2分間のタイムリープコメディ。

タイムリープものは数あれど、タイムリープに巻き込まれた人々が基本的に全員タイムリープを認知するという設定は珍しい。そしてタイムリープの度に擬似もあるがワンカットできっかり2分使い切る。2分という短さそのものがギャグにもなっている。
毎回カメラはかなり自由に動くので、あのシチュエーションで色んなパターンのカメラワークを考えるのは大変だっただろうなあ。

限定的なシチュエーションでの短いスパンのタイムリープものとしては8分のタイムリープを繰り返すミッション8ミニッツという大傑作があるが、あれは途方もない回数を経ているし、主人公以外は無自覚というのが大きな違い。
MONDAYSもループしてしまう謎を解くためにみんなで協力するという点で似ているが、一人ずつタイムリープを認知していくという設定だし、周回するスパンも長い。

本作ではタイムリープの時間を短くして、極端に限定的なシチュエーションにして、映画としての尺も短くした代わりに劇中での時間経過をリアルタイムにするというというのは演劇的でコント的で、実にヨーロッパ企画らしい。

ほぼ全てのタイムリープものは同じ時間を繰り返すことで人生の一回性の掛け替えのなさを観客に感じさせる。本作もそういう要素があるが、原因・解決法があまりに唐突で、正直感動は薄い。
クライマックスにタイムマシンを再起動させるのに何度も失敗するというシークエンスがあったら良かったのではと思った。

時間軸の違いという設定も提示されるが、別の時間軸との違いは天気だけというのもご都合主義だなーと感じた。
たぬー

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