救済P

劇場版アイカツプラネット!の救済Pのレビュー・感想・評価

3.0
無印~プラネットまで視聴済み。

前提としてアイプラはキャストのことを好きなキャストオタクでないと見ても面白くないと思っている。そして私はキャストオタクではないので、率直に言ってこの映画も面白くはなかった。

まず、『レディ・レディ・レディ』のロックアレンジは素晴らしいと思った。ファッションショーのシーンでもそうだが、個性に隠されて見えなくなっていた魅力を再発見するという意味では「曲」においても同じことが言えて、そういった意味で、全体的に落ち着いた曲である『レディ・レディ・レディ』をロック調にアレンジして冒頭で演奏するのはキャッチーでいて後のファッションショーにも通じる素晴らしい選択だと思った。
ライブパートについても、やや演出過剰なきらいは否めないが、アニメ本編同様にクオリティは高く、キャラクターの魅力を伝えることに充分貢献している。

上記、評価点以外は基本的に面白くなかった。
そもそもの話になってしまうが、「アニメキャラクター的言動」を実写で行うのはやはりキツさが否めない。殊更、知らない観客たちと一緒にスクリーンで鑑賞するとなるとどこか気まずさすら覚えた。
ストーリーについても、「ファン感謝祭」ということでこれまでの自分たちの話からファンに向けた話へとベクトルが変わり、新しいことに挑戦しようという気概は感じたが、結局ドレシアに会いに行きステージやって終わりなテンプレには劇場版特有の感慨やエモのようなものを感じなかった。
その「新しいこと」であるが、手形で花を作るというアイデアは率直に怖い。普通、一般的な感覚として「手形でできた花」を見た時にはじめに抱く感情は「恐怖」ではないだろうか。あまつさえ、その手形花が大量発生するシーンを「感動」として提供しようとする意図がわからない。包み隠さずに言ってしまうと感性を疑う。およそ感動シーンとは思えない。これは(「手形の花であること」にバックボーンがあるなどの特殊なケースを除けば)どのような作品・キャラクターが行っても同様に恐怖を感じる。
また、舞桜が斧を手に取ったシーンでそれを制止しようとするのは個人的に嫌だった。アイカツ無印で出来上がった斧に代表されるシュールさが、スターズにおいてはチェーンソーという形で発展され、フレンズにも引き継がれていったにも関わらず、アイプラでは「シュールさ」よりも「常識」が優先され、「斧で木を切る」という伝統を否定し、サンライズ立ちを披露するだけにとどめてしまうのは、アイカツ伝統を形骸化させる行為に等しいと思った。おそらく実写の都合上「斧で木を切る」行為が叶わなかったのだと察するが、だったらフレンズの「薙刀」みたいに別のなにかで代用して伝統を引き継ぐという選択肢もあったはずだ。「斧を取る」という舞桜の選択を非難し、常識的な行動を押し付けることはアイカツイズムにも反していると感じた。

色々な観点から不満を感じてしまう。キャストの子たちは頑張っている分、もう少しなんとかならなかったのかなと思わずにはいられない。
救済P

救済P