救済P

コードギアス 亡国のアキト/第1章 翼竜は舞い降りたの救済Pのネタバレレビュー・内容・結末

3.5

このレビューはネタバレを含みます

良くも悪くもといった感じ。

主人公の座がアキトへ代わり、物語の舞台もまたEUへと移り変わった。テレビアニメ版で徹頭徹尾ブリタニアと日本の戦争を描いた以上、劇場版ではその他の地域の戦争を描写したいというモチベーションは十分に理解できるし、それに伴ってスピンオフ用の主人公が用意されることも理解できるが、如何せんルルーシュに圧倒的なカリスマが備わっていたので、1章段階では未だ人となりが深堀されていないアキトでは物足りなさを感じる。

テレビアニメ版では意図的に正義の所在をおぼろげにし、ともすれば悪逆ともとれるルルーシュの行動に対して彼の人となりと決断を描くことで説得力を与えていた。あくまで1章時点だが、本作ではアキトたちEUはユーロ・ブリタニアによって侵略される被害者に位置し、アキト自身も卓越した戦闘能力を有してはいるがギアスのように道理や人倫を捻じ曲げる力は披露されていない。反対にユーロ・ブリタニア側のキャラクターは自殺を強要するためにギアスを使うなど、敵味方の区別が明確となり、邪道と正道が折り重なっていたテレビアニメ版の背徳的な魅力は失われているように感じた。

メイン以外のキャラクターについても物語を展開するうえで必要な役があてがわれているといった感じでテレビアニメ版のようなユーモアはない。

ナイトメアの戦闘に3Dモーションを採用した点も賛否あるだろう。テレビアニメ版の可変ナイトメアを遥かに凌駕して機体を変形し続けることで実現する戦闘スタイルをとったアキトのナイトメアによる戦闘シーンは見ごたえがあった。テレビアニメ版では描かれなかった生身の人間がナイトメアと対等に戦うシーンもOVAならではの良さがある。

2章ではスザクやC.C.も出てくるっぽいのでコードギアスらしさとスピンオフならではの要素がうまく融和されていることを願う。
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