ごんす

哭悲/The Sadnessのごんすのレビュー・感想・評価

哭悲/The Sadness(2021年製作の映画)
4.0
サッカーのワールドカップに臨む日本代表26名が発表された。
毎回、何故あの選手を選ばないだの何であの選手を選ぶんだなどの議論はつきない。

映画でも年末に色んな人の今年のベスト10の発表やもっと大きな括りのオールタイムベストなどを教えてもらうのは面白い!
けど自分ではなかなか決められない…
そこでワールドカップメンバーのように大会があるとして連れていく26本の映画達ということにして選んでみるのは面白くてオススメです。
ルールも自分なりに考えてチーム内に同じジャンルや同じ監督が重なりすぎないようにするとか、近年の作品と昔の作品の本数のバランスなども考えるのも楽しいです。
26本だと好きなのに連れていけない映画も出てきます。

悩んで下さい。

出来れば自分が記者会見で発表する所も妄想してみてください。
「~は何故今回選ばれなかったのでしょうか」
「~が外れ~が選ばれたのは意外ですが理由をお聞かせ下さい」
など意地悪記者も妄想すると更に面白いです。
どやってサプライズ選出をしてみるのも良いです。

自分はこの『哭悲』超お気に入りというわけではいけれどチームには欲しい存在かも。サプライズ選出感もあるので連れて行きたいです。
相手が疲れて来た時に個人技で打開できる三笘選手のように活躍してもらいたい。

舞台は台湾でアルヴィンというウイルスに感染した人間が巻き起こす惨劇を描いた物語。
語り口は他のゾンビパンデミックものとかと同じだけど食料として人間を食べちゃうゾンビになるわけではない。
このウイルスの感染者に知能は残っていて会話も可能。フィジカル的な強さも感染前と変わらず。
ただただ加虐の欲求と性的欲求が爆発し抑えられなくなり対象者を見つけると惨い暴力や性暴力を振るう…

間違いなく観る人を選ぶし、映画好きの人達の評価がとても高いけれど閲覧注意には違いない。
ゴア描写は構えていた程ではなかったような。
本当に観せないで!という瞬間は観せない所が多かった。
(ゴア描写、グロ表現が有名な映画が観れる人は大丈夫なレベルかと)

特別スプラッター映画が好きなわけでもない自分が興味を持ったのはやはり感染者の設定。
元々人間には加虐心があるというのは頭では理解していたつもりだったけど想像以上の残虐さ。
やることはナイフで刺しまくる、傘で突くという行為は実際の人間でも物理的には全然可能な攻撃であることが恐ろしい。

そういえば“ウイルスに支配され自分の意思と関係なく残虐な行為を抑えられなくなり涙を流すという感染者…”と紹介しているあらすじもあったけれど自分にはそこはあまり伝わってこなかった。
普通に症状で涙を流しているのかと思ったくらい。
皆が皆ではなかったし症状には個人差ありますってことなのか。

間違いなく序盤~中盤がピークだと思うけどタイトにまとまっていたのでそこまで中だるみは感じなかった。

ホラー映画としてはばぁさん現る…!の所が一番面白くて電車の所が一番怖かった。
両方とも序盤。

映画はその時代を切り取っている芸術という要素があるけれどこの映画はそこも良かった。
パンデミックだけではなく人間には加虐欲求のようなものが多かれ少なかれ装備されていることを認めざるをえない時代になっているように思う。

人間はずっとそうなのだろうけど、そこに対して意識的でないといけないのかなと感じる今日この頃。
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