おかみにゃん

島守の塔のおかみにゃんのレビュー・感想・評価

島守の塔(2022年製作の映画)
2.5
8/7
第二次世界大戦末期1945年4月1日~6月23日の沖縄戦を、当時の沖縄県知事島田叡と元沖縄県警警察部長の荒井退造の姿を通して描いた映画。

行方不明者も含め沖縄県民の犠牲者は10~15万人とも言われている。そのなかに島田も荒井も含まれていて、今でも二人の遺体は見つかっていない。
軍部と対立しながら県民を守るために奔走した島田と荒井の慰霊塔”島守の塔”というのがあることを初めて知ったし、「生きて虜囚の辱めを受けず」というのが、東条英機名で出された軍陣訓だというのも知ったし、何かと勉強になった映画。

「生きて虜囚の辱めを受けず」という言葉が無ければ、助かった命はどれほどだっただろうかと、今更ながら軍部の罪の重さも再認識する。

8月くらいはこういう映画は観なければと思う。
被爆者にしても戦争体験者にしてもこれから増えることは無く、語れる人も減っていくばかりなので、戦争の悲惨な実態を、このような映画や小説で残しておくことはとても大事。

「沖縄の海と空(だけ)が大好き」なちょっと浮かれ気分の観光客にも、8月だけは、沖縄行きの機内やホテルで沖縄戦の悲惨さを伝える映像や資料を見ることを義務化してもいいのではないか、と映画を観ていて思った。

ただ、映画としての仕上がりが残念すぎる。こういう教育的な映画にコメントするのはどうかとは思うのだけど、映画好きとしては一言言わずにいられなかった。道徳の授業で見せられるような過剰演出なうえ、心象表現が雑で涙も止まる。