ごんす

EO イーオーのごんすのレビュー・感想・評価

EO イーオー(2022年製作の映画)
4.2
よくあるロードムービーの形式で映画は進むが主人公は人間ではなくロバのEOさん。
ロバの心情を人間の声でナレーションするようなちびっ子番組のような演出はない切れ味抜群の映画体験。

この映画は本当に凄いと思うし動物を使って観客の感情を一つに誘導するような品のない演出もない。

しかしどうしても人間の作為を感じてしまい観ている間落ち着かない。
人間が動物の映画作るんだからそこは仕方ないと思うし、映画や作り手への不満ではなく自分がそういう見方をしてしまうということに尽きる。

動物が飼い主を損得なしに愛してくれると思っているのは思い上がりだと思っているし、離れてからもいつまでも一人の人間を動物が思ってくれるだろうかと思う(ロバは記憶力が良いらしいが)
アート映画の体裁を装っているがそこまで観る者の価値観を揺さぶったりはできていないかなと少し感じた。

とはいえ動物を愛しく思ったことがあったり、温もりを感じて幸せを感じたことがある者にとっては強烈に胸に迫るものがあった。
モヤモヤが残るというのは映画が真摯に作られている証拠なのかもしれないと思った。
考えれば考えるほど凄い映画な気がしてくる。
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