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逆転のトライアングルのnanaのネタバレレビュー・内容・結末

逆転のトライアングル(2022年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

スクエアでパルム・ドールとった人が今度はトライアングルで…なんてことはもう言い尽くされていそうですが、まさかの2作品目受賞を果たしたリューベン・オストルンド。
しかも今年のアカデミー賞でも作品賞、監督賞、脚本賞にノミネートという快挙。

予告で「なんかこの映画面白そうだな」と思った人も多いのではないかと思われる、冒頭のBALENCIAGAorH&Mのシーンから、おもにTwitterで定期的に戦争が勃発する「男女の割り勘/奢り・奢られる論争」など、相変わらず序盤からヒリヒリさせてきます。
ちなみに予告はちょっと展開を見せすぎな気もしました(船が大変なことになるところまでで良かったのでは)。
冒頭といえば、オーディションの場で謎にいる犬だけでもう笑わせてきます。

アル中のウディ・ハレルソンがいるだけでもうロクなことにならない気しかしませんが、案の定豪華客船は地獄絵図に。
ウディ・ハレルソン演じる船長とディミトリーの名言合戦とか、「こういう時は食べた方が楽になりますから!」とか(そんなわけないだろ)、いちいち笑える。
画面もゆらゆら揺れることで、船酔い体験映画としても最悪です。
船長はアル中で通常時もフラフラなので、みんなが大変なことになってる時も全然様子が変わらない。
ブルジョワたちを皮肉たっぷりに描くということで、「画面が汚めのブニュエル映画」と言えるかもしれません。
ブニュエル繋がりで言えば『皆殺しの天使』要素もあります。

無人島(と思われた)での『蠅の王』的な展開も、ラストに至るまでなんとも虚しい。
工夫して髭剃りしたり楽器やボードゲームを自作してみたり、どんな環境でも人間の知性やアイデアを信じることができる希望のあるシーンもあるのですが。

少なくとも『ザ・スクエア』よりは分かりやすくてエンタメ性も高い作品だと思います。

最初の方で理不尽に帰還させられたセクシー男性が結果的に一番ノーダメージで済んで良かった。
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