れーちゃん

逆転のトライアングルのれーちゃんのレビュー・感想・評価

逆転のトライアングル(2022年製作の映画)
3.5
チャプター構成で貧富の差、民主主義と共産主義、男と女など様々なテーマを展開する。

1章では駆け出しの男性モデルカールと売れっ子女性モデルヤヤ、2人はカップルともなんとも言い難い関係を続けており、金銭的な格差がある様子を描く。
2章ではそんな2人が「案件」で豪華客船に乗る。裕福なものたちが豪遊していたが、ある晩、食中毒や天候不良での船酔いに見舞われ、追い打ちを兼ねるかのように船は爆破される。
3章は生き残ったものたちが無人島で生き抜こうとする姿が映し出される。サバイバル能力が試され、船で掃除の使用人として雇われていたフィリピン系の女性が圧倒的な存在となり、下剋上を果たす。

この3部構成の中には様々な「上と下」、まさにヒエラルキーを表すメッセージ性が込められていた。
ハイブランドとファストファッション、富裕層と庶民、女と男、移民、客と従業員、高齢者と若者、障がいがあるもの、そしていろんな意味で上からも下からも。。

バレンシアガはカッコ良く、H&Mはニッコリスマイル。

あるおばあさんは乗船員に対し全員泳げ!と突如滑り台を設置させるよう命令し、自分のお金でみんなの楽しみを買ってあげた喜びを感じる。

カールとヤヤの関係も、男は自分に金を払うのが当然だと言わんばかりのヤヤと、そんなヤヤに対して不満を抱きながらも切るに切れないカール。
ヤヤのSNS用写真を撮りまくるなど、カールはまるで使用人だ。そんな2人も船上という非現実的な空間においては自然とくっついたり。この2人の絆がない関係性はとても脆いものであることを示していたり。

傷んだタコを食べて食あたりが発生するも、無人島では採れたてのタコに救われたり。

全てのことが表裏一体というような、皮肉が込められまくっていた作品だった。

上からも下からもでおばあさんが転げまくるシーンで本気で笑い止まらなくなってしまってしんどかったな。。
映画の終わり方が好きでした。
れーちゃん

れーちゃん