その森で少年は、何を見てしまったのか…
出稼ぎ先のドイツで暴力事件を起こしたマティアスは故郷ルーマニア・トランシルバニア地方の村へと戻って来る。しかし妻との仲は冷え切っており、彼の息子ルディは森での"ある出来事"を切っ掛けに言葉が話せなくなった。元恋人のシーラの存在だけがマティアスに取っては安らぎだったが、シーラが責任者を務める地元のパン工場がスリランカからの労動者を迎えたのを切っ掛けに、村人と労動者たちの間には溝が出来て…
ストーリーはこんな感じ。
強いて言えば良い人がシーラだけなんじゃないか?って思えるほど、クソな人間しか出て来ない映画だよね。
まずはマティアス!
差別用語に腹を立て暴力を振るい、そのまま故郷へと逃走する。その前にも同じ様な事があったのかな?もし、そうだとしても謝罪もしない、警察に捕まらない様に国外逃亡を図っている時点で人としておかしい
そして帰って来たはいいが、妻の顔を見ると明らかに"何で帰って来た?"と言わんばかりなんだよね。妻との冷え切った関係を打破すべく向かったのが元恋人シーラのところ。でもシーラも冷たい態度なんだよね
多分なんだけど、妻はシーラとの不倫関係を知ったから冷たくなり、シーラは自分は本気だったのにマティアスは本気じゃ無かったから、冷たくなったんじゃないかな。
それでも、その後のシーラへの付き纏いは凄い!もう完全なストーカー!
そんなマティアスに魔が差して寝てしまったシーラ。完全に自分に気が戻ったって思ったマティアスの行動は気持悪かったわ(特に集まりが有った時のシーンは個人的にはホラーだったわ…)
一方、口が聞けなくなったルディの対応も最悪だよね。ルディに寄り添うわけでも無く、ただ"男は強くあれ!"的な事や言葉しか言わないんだよね。ただただ"自分のしたことの処理も出来ん奴が何を言う!"って思いしか無かったわ
そして1番腹が立つのはここに暮らす住人たち!パン工場が人手不足の為にスリランカから3人の労動者を連れて来る。その頃から、おかしくなって行くんだよね
彼らについて教会のミサの場で討論が始まるんだよね(ほぼほぼ悪口の)
まずはパン工場で彼らはパンを手でこねている(当たり前だろ)って所から始まり→衛生的に汚い→よそから来る人間は違うウィルスを持っている(なんじゃ、そりゃ)→そして最後はテロが起こる…って所に行き着く。彼らに対してのヘイトから出て来た事なんだけど、"どこからそんな話になるんだろう?"って思えるぐらい理論的に破綻してる。そんな状況を収めようと牧師は諭すように説得するんだけど、熱くなってるもんだから聞く耳がない。挙句の果てには牧師に彼らが工場から出ていくように説得してくれと頼み込み、牧師も"みんなの総意なら…"って事で言いに行くんだわ。中立じゃなきゃならない人が!
その後、村人全員が集まる集会が開かれるんだけど…
ちゃんと然るべき所に然るべき事をしているのに、ただ"嫌い"だからとか"憎い"と言う気持ちでその人の存在も認めないってのは、どうなんだろうね?自分たちも外の国に働きに行っているのに、どうして気持ちが解らない…いや解かろうとしないんだろう。ここのシーン長回しで17分間有るんだけど、イライラしたわ…
まぁ、こんな感じで個人的にはムカムカしましたね。
後、ラストの"あのシーン"はどういう意味なんだろう?色々、考察も読んでみたけどいまいちピンと来ないんだよね…
個人的にはハマらない作品でした。