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CLOSE/クロースのCHEBUNBUNのレビュー・感想・評価

CLOSE/クロース(2022年製作の映画)
1.5
【ルーカス・ドンはクローズアップがお好き】
最近ベルギー映画が熱い。日本でもシャンタル・アケルマン特集が組まれたり、ダルデンヌ兄弟の新作『トリとロキタ』が話題になっていたりするが、国際的にも『Ghost Tropic』のBas Devosや『プレイグラウンド』のローラ・ワンデルといった監督が注目を集め、ベルギー映画が今熱いことになっている。第95回アカデミー賞国際長編映画賞のノミネートに選出された『CLOSE/クロース』もベルギー映画である。監督は『Girl/ガール』で注目されたルーカス・ドン。個人的に『Girl/ガール』が全く合わなかったため、本作も心配していた。その予感は的中することとなった。

親友以上の関係にあった少年レオとレミが、女子生徒に同性愛を疑われたことから関係が決裂していくドラマ。アイスホッケー部を使った、心理的距離描写。肉体的近さが、部活やバスの窓といった障壁によりどんどん遠いものへとなっていく描写には作劇の上手さを感じるも、ルーカス・ドンの画作りがどうも好きになれない。『Girl/ガール』では、バレエダンサーの物語にもかかわらず、上半身の運動を捉えることばかり注力しており身体全体での運動がおざなりになっていた。本作でも、顔のクローズアップが多様されるも、それが視野の狭さを表現できていたかと思うと疑問を抱く。またアイスホッケー部の運動や自転車による運動は、思春期の行き場のない葛藤をぶつける描写として機能しそうなのだが、これも身体の一部しか捉えきれておらず、映像は綺麗で心理的分断描写も印象的ではあったが、乗れない作品となってしまった。
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