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CLOSE/クロースのmplaceのレビュー・感想・評価

CLOSE/クロース(2022年製作の映画)
4.0
学校のような集団生活において異質な存在として自分が認識された場合に起こりやすいのは、いわゆるいじめや仲間はずれであったり、からかいの対象にされてしまう事である。
繊細で多感な思春期においてそのターゲットにされる事は多くの子供にとって耐え難いことであり、なんとかその対象から外れる為に自分を押し殺して無理に周囲の人間達に同化しようとしがちだ。ゲイの「疑い」をかけられたレオが、「男性らしさ」の象徴として見られがちなサッカーやアイスホッケーのようなスポーツに参加を試みたのも、自己防御の一つであったであろうと想像する。

しかし、異質であることに問題を感じず、そのままでいる事を是とする者にとって、同じ属性を持っていたはずの親友からそのような在り方を否定され、拒絶される事もまた耐え難い事であり、それが本人に与える絶望感は想像を絶する。そしてその絶望はさらにその家族にも侵食していくわけだが、その残酷さがこの映画では明るみにされている。

この作品は一応LGBTQのジャンルにもカテゴライズされているようだが、レオとレミが実際に同性愛者であったかどうかは明確に描写されていない。
そもそも人の性嗜好というのは成人後でも変化するものなので、ましてや10代前半の不安定な年齢においては定まっていなくて当然なのであり、それを是とする価値観が今の社会にはもっと求められて良いと思うし、それがこの映画が伝えたかった事の一つではないかと思う。

何より2人の子役の演技が素晴らしく、花畑をバックに走り抜けるレオの姿もまた美しい。
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