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プリシラのmplaceのレビュー・感想・評価

プリシラ(2023年製作の映画)
2.6
私はこの映画で初めてこのプリシラという女性の存在と、彼女とエルビス・プレスリーとの関係の歴史や、プレスリーが西ドイツで米国軍の兵役についていた事、またプリシラも軍人家庭で育ったバックグラウンドがある事も知ったので、その点ではとても興味深く観ることが出来た。

さすがソフィア・コッポラらしく映像美に徹底したこだわりを感じたし、プリシラを演じるケイリー・スピーニーの美しさとその演技がさらに映像の良さを際立たせていた。プリシラが籠の中の鳥のような存在だったのが、次第に大人の自立した女性として自己を確立していく様が描かれているので、女性のエンパワメントを目的にした映画としてはある程度成功していると思うが、コンテンツそのものの密度は正直薄い気がする。

ちなみに最近ガーランド監督の「Civil War」で戦火の中を逞しく駆け抜けていくジャーナリストを演じたスピーニーを観たばかりだったので、その対照的な役柄を見事に演じ切っている様に感銘を受けた。

ただ、これは勿論プリシラの物語なので、プレスリーの人物描写が二の次になってしまっているのは仕方がないのかもしれないが、それを差し引いてもプレスリーの人となりや、彼とプリシラの関係の変化については深く掘り下げることなくあまりにも淡々と進んでいくのと、話の展開も同じようなパターンが何度も繰り返されるので、全体的に物足りなさを感じてしまった。

プレスリーの浮気の絶えないところやドラッグ依存、癇癪を起こしがちだったりスピリチュアル系のセラピーに傾倒したりなどという描写は色々あったがどれも表面的な描写にとどまっていたように私には見えてしまった。でもこのへんは観る人によって求めるレベルは違うかもしれない。
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