いつもいっちゃん

トリとロキタのいつもいっちゃんのレビュー・感想・評価

トリとロキタ(2022年製作の映画)
4.8
ダルデンヌ兄弟監督の新作。
カンヌ国際映画祭75周年記念大賞を与えられました。
ダルデンヌ兄弟が描く子供が現実に飲まれていく社会の暗部。
ビザを取得するために麻薬の運び屋にならざる得ない少女と少年の過酷な試練。

冒頭から共に笑い、行動を共にするのも常な姉弟。
しかし2人は実は本当の姉弟ではない。
嘘をつかなければそこで生きてはいけない。
しかし本当の姉弟の様な強固な絆が見えます。
友情というよりか本当に姉弟みたい。
しかし2人に待ち受けるのは過酷で容赦ない試練と運命だった。
この現実に対する悲痛なメッセージを容赦なく突きつけてくる、ダルデンヌ兄弟のブレない姿勢。
優しさもある一方、現実の残酷さも存在することは必ず描いていて、今作でまた子供にもその現実が降りかかっていることを映します。
手を差し伸べる大人はいない。
生きるために犯罪に手を染める子供に必要な優しさ。
それを観る側に問いかけるような作品でした。
89分という尺で重めの内容でありながら心を掴む余韻。
ダルデンヌ兄弟らしいシビアさは、今の映画に必要だと感じました。
傑作。

トリが本当に可愛い。
カラオケシーンとか最高。
成長が楽しみ。