このレビューはネタバレを含みます
この映画の感想をちゃんと書ける人が羨ましい。 “ちゃんと” の意味はよく分からないけど…
十代の頃 深夜テレビで偶然観た『シーバース(当時の邦題は「SF人喰い生物の島」)』からずっと好きなクローネンバーグ。でもここ最近の2作はイマイチ、というか正直 何がいいのかよく分からなかった。内容も覚えていない。もう自分はダメだと思っていたので、この最新作を面白く感じることができてとても嬉しい。正しく理解できたなどと言うつもりは毛頭ない。周りには『クラッシュ』の “痛み”に振り落とされた観客が多かったと記憶している。今回描かれる世界で痛みは既に存在すらしてしない(あれから30年経ってはいるけれど)。80歳、一体どこまで突き進むのか、その先鋭と、ホゲホゲ動く気妙な椅子に象徴される そこはかとない間抜けさ、その共存に 目眩を覚える。ティムリンという名の持つ響き。『ザ・ブルード』でシェイプ・オブ・レイジだった腫瘍はタトゥーをほどこされショーのアイテムに。この恍惚は孤高。アクスタや出来の悪いTシャツなどポップを気取ったグッズ展開は最悪。