聖地の闇を走るバイクの存在感。つい目で追ってしまう。
風に髪をなびかせる男の後ろには、ヒジャブを被った女性を乗せたり、荷物を乗せたり、空だったり。
マシュハドの街を浄化すると、娼婦を拾っては殺していくスパイダーキラー。表の顔は平凡で善良なイスラム教信者が、使命を纏う。
売春と薬物という非合法の状況に身を置いている、被害者それぞれの人間性が想起され、女性ジャーナリストを通して抑圧の不安と自由への希望を感じる。
様々な関係者や市民の目線と宗教観と反応が興味深い。狂信と怯えが交錯する中の捜査、判決、執行。
現実を天日に晒す冷徹で力強い映画。
