はる

聖地には蜘蛛が巣を張るのはるのレビュー・感想・評価

聖地には蜘蛛が巣を張る(2022年製作の映画)
3.5
ロシアがウクライナを侵攻したとき、侵攻に至った背景として「他国からリスペクトされていないと感じており、その自尊心を満たしたいから」というような指摘があった。この映画で娼婦を殺す男も、行動原理の根幹は一緒だと思う。俺は特別な人間のはずなのに、凡夫と同じ一生を終えようとしている、そんなのはおかしい……そういう気持ちを、弱者を虐げることで和らげようとする。こういうことは昔から連綿と、形を変えながら続いていくんだろうと思って暗澹として気持ちになった。
息子が父を誇らしげに語るのも、妹を使って無邪気に殺害の様子を再現するのもキツかった。子どもが大人の言動に染まっていくのを観るのが、最近結構辛い。
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