このレビューはネタバレを含みます
残酷なシーンが多く序盤から暗くてしんどかったです。映像を見てるだけでも吐き気がしました。
最後のシーンで犯人の息子が「女性は力が弱いから殺すのは簡単だ」みたいな事を話していた所には恐怖で震えました。ジャーナリストが犯人の家に行った時に震えながらタバコを吸っていた。防御のためにナイフを持って行ったとしても、今回の犯人は建設の仕事をしていてムキムキで力があって、特に体格差も感じただろうに、そんな相手に立ち向かったジャーナリストは本当にすごい。
監督のお言葉でイラン社会に深く根付いているミソジニーの風潮は、宗教や政治が理由というわけではなく、単純にそういう文化として存在しているそうだ。国に限らず、人々の習慣の中で植え付けられるとのことだった。
確かに息子は犯人の背中を見て育ったから、父親がした残虐なことは正義だと思っており、繰り返す可能性があることが恐ろしくてたまらない。犯人と犯人を英雄視していた大衆も行き過ぎた正義が暴走していたように思う。
ジャーナリストが被害者のお家にインタビューをしに行くけど、そのお家には椅子がなかった。物に溢れている加害者の家とは生活の質が違った。生きるために、子どもを育てるために、様々な理由から娼婦として頑張るしかなかった女性たちの背景が見えた。
実際の連続殺人事件から着想を得ている作品だそうで、調べたら2000年〜2001年に起きていて割と最近で驚いた。