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聖地には蜘蛛が巣を張るのwiwiwixのレビュー・感想・評価

聖地には蜘蛛が巣を張る(2022年製作の映画)
4.2
西洋近代的な価値である人権や公正もまた、犯人の言うーー「おれは狂っている、そう、神に狂っている。狂信だ」ーー【狂信】と同じなのでは?問う。
犯人は「汚い」娼婦達を絞め殺す。同様に、「近代的」なイランの司法制度は、犯人を死刑に処す、犯人が娼婦にしたのと同じ「絞め殺す」ことによって。「汚い」犯罪者として彼を罰するのは、「汚い」娼婦を罰する犯人や彼の支持者と同じ。
そのことによって「人権」「公正」「正義」などを実現する。暴力を許さない近代制度は、暴力によって実装される。
主人公の女性ジャーナリストは、最後まで能天気なリベラルであり続ける(男性同僚の頬にキス)。都会のテヘランへと帰るバスに揺られるラスト…(犯人の息子が継ぐことを匂わせるのは、近代と犯人が同類であることに気付きたくない観客の為のカモフラージュか?)。

ノーランぽくしてるけど全然なっちゃいない。
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