KAJI77

ノー・シャークのKAJI77のレビュー・感想・評価

ノー・シャーク(2022年製作の映画)
4.0
蓋を開けてみれば信じられないくらいイタい独白やけど、傑作。
自分の脳内に侵入されたのかってくらいこの監督の思考回路に同調してしまう。観てて恥ずかしすぎる。

これってナルシズムじゃなくて、ニヒリズムへの対処でしかないんだと思う。
客観的に観れば、ただぼーっとしているだけの女。他の任意の人と同じなのかもしれんけど、そんなん知ったこっちゃないしね。一番大事なのは己がどう感じて、どう考えているのかでしかない。
結局のとこ無に縋るんやとしても、何にも信じられないよりは幾分かマシってとこまで我々の意味論のハードルがただ下がりしちゃってる。
バカ映画に見えて、根幹にあるのはウィトゲンシュタイン的省察であるという結論。

この作品の主人公は、望んでそうしているようでその反面何もかも諦めている。でも言い訳するために生きてても良いって気もする。そんな奴もいて良い、なにせ人間はいっぱいいるから。
これでええんやなって観てて思いました。
KAJI77

KAJI77