にゃーめん

ゴールデンカムイのにゃーめんのレビュー・感想・評価

ゴールデンカムイ(2024年製作の映画)
3.8
漫画の実写化の成功例と胸を張って言っていいクオリティ。

原作の漫画がすでに完成していて話の筋に関しては、面白さが保証されている場合、実写化に求められるものは、「リアリティ」これに尽きるが、本作の場合は美術、衣装、演者のメイクを徹底的に作り込むことで、「リアリティ」のレベルが保たれていたように思う。

監督が本作を撮る上でイメージしていた
のがイリャニトゥ監督の「レヴェナント:蘇えりし者」(2016)であったそうで、冬の北海道でのロケにこだわって撮っただけあって、寒さの厳しさ、過酷さがビンビンに伝わって来た。

陽の光に輝くダイヤモンドダストの美しさや、氷点下の中杉本と白石が飛び込んだ凍てつく川、白樺の木々、小雪の舞うアイヌコタン。

あくまでも主役は北海道の大地そのものと、その大地と共に生き文化を継承してきたアイヌ民族であるという事に敬意を払った作品作りをしている点が伝わり、大変好感が持てた。
(アシリパさんの衣装や小物は全てアイヌの民藝品を作る本職の方が一から手作りしたものだそう)

第二の主役でもある、熊や狼などの野生動物達のVFX表現も不自然に見えないクオリティが保たれており安心した。
(杉元に覆い被さる死んだヒグマのシーンは若干のぬいぐるみ感が否めなかったが、許容範囲であろう)

コスプレ映画にしないための衣装、メイクチームの努力もしっかり感じられ、特に最推しの尾形に関しては、眞栄田郷敦以外の配役は考えられない、解釈一致すぎる尾形であった。

アクションに関しても、不死身の杉元役、山崎賢人の「キングダム」仕込みのアクションが生かされた、203高地の塹壕戦も大変見応えがあった。

狭い塹壕での銃剣を使用したアクションに苦労したそうだが、他作品で鍛えた身体能力を生かした芝居ができるという意味で、今作にも起用されたと考えると納得がいく。

個性的なキャラクターそれぞれの見せ場もしっかり描かれており、山場がいくつも設けられているため、中盤もダレない展開で、原作未読であっても楽しめる、「稼げる邦画」として仕上がっていたことに大変安心した。

「キングダム」と同様、物語のどこまでを実写化するのか?問題がどうしてもつきまとうが、このクオリティを保てるならば、絶対に次回作も映画館で見届けたい。
にゃーめん

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